このブログでも何度もお伝えしていますが、英会話上達法の基本は英語を実際に口を出すことであり、発音練習は英会話練習の基礎技術です。
サッカーで言えば基本的なボールの蹴り方、テニスで言えば基本的なボールの打ち方のようなもの。
基礎をしっかり固めないと、ボールがあらぬ方向へ飛んで行ってしまいますよね。英会話も同じです。
以前から、このブログでは『発音(pronunciation)よりもイントネーション・リズムの方が大切』という観点から、リズムに関する記事を多く書いてきました。
しかし最近、『英語の音そのものについての記事も書いてほしい』というご意見をお問い合わせフォームから頂きましたので、発音そのものについての記事も書いていくことにしました。
英語の発音については、『日本人には難しいのでは・・・』という不安が常につきまといますが、全体像を知ったうえできちんと練習していけば、恐れるに足りません。
なんといっても、英語の音の種類は有限です。
知ったうえできちんと練習すれば、3か月から半年ぐらいで身につきます。
それでは、英語の音の全体像を見ていきましょう。
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英語の『発音』の練習はやはり大切?
私はこのブログで、通じる英語を話すためには『リズム>発音』と繰り返して書いてきました。
じゃあ、発音って大事ではないの?そうあなたも考えるかもしれませんね。
結論から言うと、英語の発音練習も非常に大切です。
リズムが一番重要だとは言っても、発音が重要ではない、というわけではありません。
特に、リスニングを強化したい場合には、英語の『音』をきちんと習得することが最も効果的かつ効率的な方法になります。
参考記事:
今回の記事では『英語の音の全体像』を説明し、詳細な説明が必要な音については、個別ページで説明と音の確認をしていきます。
なお、私はアメリカでアメリカ発音を学びましたので、このブログの発音はアメリカ発音になります(発音記号は APA (American Phonic Alphabets))。
テレビや映画の影響で一番通じやすい英語発音ですので、使い勝手が良いはずです。
英語の音素(発音)の種類
発音という点に限って言えば、日本語は非常に簡単な言語ですよね。
それは母国語だから、というだけではなく、音の種類が少ないからです。
日本語の母音(の音)は5種類ですが、英語では15種類、実に3倍です。
子音も、日本語では清音が9種類(か行~わ行)、濁音・半濁音が5種類(が~ば・ぱ行)ですよね。
ですが、英語ではもっと多いだけではなく、母音を入れずに子音だけで発音する、という芸当も行われます。
なんだか不安になりそうな展開ですね。
でも、大丈夫です。
最初にも書きましたが、練習すれば3カ月~半年ぐらいでできるようになりますから、安心して下さい。
さて、英語の音にはどのようなものがあるかを見ていくにあたり、まずは『母音』と『子音』に分けていきましょう。
英語の発音の種類:母音
まずは、英語の母音です。
母音の特徴は、
・ 発音するとき、舌先がどこにもついていない
・ 唇や喉も開いたまま(閉めたり狭めたりしていない)
・ 喉が震える音(有声音)
という点にあります。
試しに『あ』とか『う』とか『おい』とか発音すると、上の特徴がよく分かると思います。
母音の音は先ほど15種類、と書きましたが、これらはさらに『短母音』と『長母音』に分かれます。
意味は読んだ通り、短い母音と長い母音ですね。では、それぞれを見ていきます。
英語の短母音
まずは短母音、8種類です。
日本語よりも多い、ということは、日本語にはない音がある、ということですね。
これらは伸ばさず、短く発音されます。
名前/
アルファベット |
発音記号 | 特徴 |
short-a / a | /æ/ | アとエの中間(※) |
short-e / e | /e/ | エに近い |
short-i / i | /i/ | イに近い |
short-o / o | /a/ | 口を大きく開けて『ア』(※) |
short-u / u | /u/ | ウに近い |
wonderer’s voice | /Λ/ | 半開きで『ぅ』(※) |
open-o / o | /ɔ/ | オに近い |
schwa | /ə/ | 半開きで『ぅ』 |
(※)これらの音(3つの『ア』)については後述
最初の5つの音は、それぞれの母音のアルファベットから発生した音ですので、対応するアルファベットが書いてあります。
wonderer’s voice(悩み声) と呼ばれる音と schwa は、どちらも『あいまい母音』と呼ばれる、はっきりしない音です(それぞれ、別記事で詳しく説明しています)。
音はどちらも、口をうっすら半開きにして『ぅ』と短くうなる音ですね。
これはもとからあるアルファベットの音とは違う形で発生した音ですので、対応アルファベットはありません。
なお、open-o(/ɔ/)の音は日本語の『オ』に近い音ですが、通常の “o” の音としては使われず、o の後ろに l や r が来る場合に使われます。
このうち、日本人にとっての難関は(※)が付いた音(3つのア)ですね。
発音記号では、/a/ と /æ/ と /Λ/ ですね。
これらは日本人には全部同じ『ア』に聞こえる音で、練習をしないと全部同じに発音されてしまいますし、聞くときにも聞き分けられません。
でも大丈夫。
やり方を知ったうえで練習すれば、すぐにできるようになりますし、聞き分けられるようにもなります。
これらの3つの『ア』については、個別にこちらの記事で説明していきます。
関連記事:英語の母音の発音:同じに聞こえる『3つのア』を区別しよう!
なお、英語を話すうえで最も重要な音 “schwa” については、その音と使われ方を詳しく説明しています。
関連記事:英語を話すうえで最も重要な音 “schwa” の詳しい説明と使われ方
英語の長母音
次は長母音、下の7種類です。
名前/アルファベット | 発音記号 | 特徴 |
long-a / a | /ey/ | エィの音 |
long-e / e | /iy/ | イーの音 |
long-i / i | /ay/ | アィの音 |
long-o / o | /ow/ | オゥの音 |
long-u / u | /uw/ | ウーの音 |
(特になし) | /æw/ | short-a(æ) + ウ |
(特になし) | /oy/ | オィの音 |
※上の表中、y は『イ』の音、w は『ウ』の音を表します。
この表を見れば分かるのですが、英語の長母音は日本語のように『長く伸ばす』音ではなく、2つの母音がつながった『二重母音』です。
/iy/ と /uw/ を除き、長く伸ばす音はありません。全て二重母音になっています。
そして、どの音も y か w で終わっていますね。
ここでは『英語には伸ばす母音は無い』ということと、『二重母音は y か w で終わる』ということを覚えておいてください。
このことは、音の結合を学ぶときに重要となってきます。
なお、伸ばす(ように聞こえる)音は、短母音の後ろに r が来ると伸びたように聞こえます。
次ページ:英語の子音の全体像、そして英語の発音練習をするときの注意点に続きます。