【寄稿】「恐中」と「反日」がもたらした韓国外交の矛盾

【寄稿】「恐中」と「反日」がもたらした韓国外交の矛盾

 中国外務省のある高官は、先ごろ北京を訪れた韓国最大野党「共に民主党」所属の国会議員らに対し「人民の感情を無視した政策を取ることはできない」と述べ、米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備に対する中国のさまざまな「報復」措置は自国の世論に後押しされたものだと主張した。

 韓国大統領に対する弾劾訴追案が先月国会で可決され、韓国の外交コントロールタワーが機能しなくなって以降、中国は韓国政府との対話を打ち切り、THAAD配備に反対する韓国野党議員との連携をアピールした。そうかと思えば、中国とビジネスする韓国企業に多方面から圧力を加え、彼らの経済的苦痛があたかも韓国政府の誤った判断(すなわちTHAAD配備)が原因であるかのように見せかけ、韓国の世論分裂をあおっている。

 一党独裁国が民意に言及するなど納得がいかないし、さらに踏み込んで隣国の国論分裂を助長しようとするところに不純な意図を感じざるを得ない。だが、相手に付け入る隙を与えたのは韓国自身なのだ。「THAADにこだわって北朝鮮を刺激するのではなく、まずは米国が北朝鮮への敵視政策をやめるべきだ」という中国の詭弁(きべん)に同調する韓国の国民、学者、政治家、ジャーナリストは少なくない。今月9日には、爆撃機を含む中国の軍用機が編隊を組んで韓国と日本の防空識別圏を飛行し、武力を誇示した。中国が韓国に何を望んでいるかは明白だ。経済だけでなく安全保障の面でも中国の側につけ、米日同盟の側について中国を不快にさせるな、ということだ。

金泰孝(キム・テヒョ)成均館大学教授(政治外交学科)
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