テロ等準備罪めぐり与野党が議論

テロ等準備罪めぐり与野党が議論
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NHKの「日曜討論」で、「共謀罪」の構成要件を厳しくして「テロ等準備罪」を新設する法案について、自民党が、国際組織犯罪防止条約の締結に向けて早期成立を目指す考えを示したのに対し、民進党は、権力の乱用につながるおそれがあると懸念を示しました。
自民党の二階幹事長は「国際組織犯罪防止条約の締結に至っていないために、国際社会における法の抜け穴ではないかとさえ言われているのだから、わが国は国際社会の信頼を勝ち得るためにも、しっかりと早期成立を目指してやっていきたい。公明党と連立を組んでいるのだから、できるだけ対象となる犯罪を絞っていこうという公明党の考えを十分に参考にして、できればそれに沿えるようにしたい」と述べました。

公明党の井上幹事長は「テロなどの組織犯罪は世界的な規模で行われているので、情報交換などで国際協力し、未然に防止することが大事だ。懸念はいろいろあるので、組織とはどういう組織を指すのか、準備行為とは何かなど、構成要件を明確にすることが法案作成段階で必要だ」と述べました。

民進党の野田幹事長は「過去、『共謀罪』は3回廃案になっており、当然、批判的にチェックしないといけない。言葉だけ聞けば『組織的犯罪集団はとんでもない』と思うが、それがどういう集団なのかを決めるのは当局であり、そこに乱用の可能性があることが心配だ。今の段階で早期成立と言われても、冗談ではない」と述べました。

共産党の小池書記局長は「思想、良心の自由を保障した憲法に違反する大悪法だ。テロ対策が口実だと言うが、現行法制で十分に未然の取締りは可能だ。まさに現代の治安維持法になって、非常に危険な暗黒社会を作っていく」と述べました。

日本維新の会の馬場幹事長は「東京オリンピック・パラリンピックなどが開かれる時期に、国際組織犯罪防止条約の締結は重要だ。国連加盟国で未締結のわずか11か国に日本が入っていることは、世界の常識からずれている」と述べました。

自由党の玉城幹事長は「国会で過去3度廃案になった経緯からしても、『共謀罪』の適用や処罰の範囲があいまいで、拡大するおそれがあるほか、捜査当局の乱用への懸念の声もある」と述べました。

社民党の又市幹事長は「テロ防止対策が必要なことは誰もが否定しないが、現行の刑法で十分に対応できるものを、あえて『共謀罪』を作ろうというのは断固反対だ」と述べました。

日本のこころを大切にする党の中野幹事長は「東京オリンピック・パラリンピックなどを控えており、必要不可欠な法案だ。私たちは賛成で臨む」と述べました。