厚生労働省は21日までに、2015年度の生活保護費の不正受給数が4万3938件となり、過去最多を更新したとの集計結果を公表した。前年度から917件(2.1%)増加した。一方、金額は4億8495万円減の169億9408万円だった。
1件当たりの金額は1万9千円減の38万7千円で、厚労省が把握する1997年度以降で最低。厚労省は「収入調査が徹底され、早期の段階で発見されるようになった」と分析している。
保護費の不正受給を巡っては、収入を隠して保護費をだまし取るといった例もある一方、子供のアルバイト収入を申告し忘れるなど悪質と言い切れないケースもある。
内訳は「働いて得た収入の無申告・過少申告」が合計58.9%で、続いて「年金受給の無申告」が19.0%だった。不正発覚の経緯は、福祉事務所による照会や調査が89.2%を占め、通報や投書が5.0%だった。
不正受給対策の強化では、14年7月に改正生活保護法が施行。罰金の上限を引き上げたほか、不正をした際の返還金にペナルティーを上乗せすることなどが盛り込まれた。
生活保護受給者は16年10月時点で、全国で214万4759人。〔共同〕