イタリア中部の雪崩事故、被災したホテルから10人を救助
- 2017年01月21日
18日にイタリア中部アブルッツォ州の山で起きた雪崩の救助活動が続くなか、これまでに10人が救助された。雪崩は複数回にわたる地震の後に発生していた。
20日には、雪崩の直撃を受けたリゴピアノ・ホテルから子ども4人と女性1人が助け出された。
救助隊員らは夜になっても救助活動を続けると語った。
少なくとも4人の死亡が確認され、約20人が依然として行方不明となっている。
雪に掘られた穴から生存者が助け出されると歓声が上がった。
生存者らは、崩れ落ちた天井の下に空間を見つけ、火を焚き暖を取って2日間過ごしたという。
積雪のため道路の通行ができず、救助活動は難航した。
イタリア紙スタンパは、雪崩が再び起きる懸念もあると伝えた。
雪崩発生前と後のホテル周辺(中央カーソルを動かして比較)
生存者が見つかったとの報告があったのは現地時間の午前11時(日本時間午後7時)。最初に助け出されたのは8歳の少年で、休暇で父親のジアンピエロ・パレテさんと共にホテルに滞在していた。ジアンピエロさんは事故当時は車の近くにおり、雪崩が起きているいることを電話で伝えた最初の人物だった。
少年の母親、アドリアナさんが次に救助され、6歳の娘がまだ中にいると語った。娘も無事救助された。一家は海岸沿いの町ペスカラの病院で再会を果たした。
病院関係者はAP通信に対し、救助された3人は低体温症と脱水症の症状が出ているものの、全体として健康状態は良いと述べた。
同病院のロッサーノ・ディ・ルツィオ医師は、「みんな厚着していた」、「スキー帽があったし、雪や寒さから守られており、ずっと建造物の中にいた。そのため低体温症はひどくなかった」と語った。
ホテル周辺の航空写真
18日にはマグニチュード5以上の地震が4回起きた。地震の前から豪雪で電話線が雪に埋まり、電線が切れるなどしていた。
地震が起きた後、ホテルの宿泊客の多くは1階に集まり、避難する準備をしていたが、雪崩が午後5時に発生。ホテルは完全に雪の下に埋もれた。
雪崩で天井の一部が崩落した。一部報道によると、建物そのものが基礎から10メートルほどずれたという。
救助隊はスキーを使い、雪をかき分けて現地に向かわなくてならず、事故現場に到着したのは何時間も後の事だった。
車に妻の頭痛薬を取りに行っていたために雪崩を逃れたパレテさんは、職場の上司クインティーノ・マルチェラさんに午後5時半過ぎに電話したという。
マルチェラさんはすぐに当局に連絡。しかし当初は通報内容を信じてもらえず、何度も電話を繰り返したという。2時間後にようやく救助が向かっていると伝えられたという。
最初の救助隊が到着したのは翌19日の午前4時半だった。
雪崩発生時にホテルにいた宿泊客やスタッフの数は正確には分かっていないが、最大35人いた可能性があるという。
イタリア半島を縦断するアペニン山脈では、昨年8月から10月にかけてマグニチュード6の地震が3回起きている。イタリアの山岳地帯の断層にたまったひずみが、今回相次いだ地震の原因だとみられている。
(英語記事 Rigopiano avalanche: Ten found alive in Italy hotel after two days)