政府、負担軽減を加速 沖縄県の翁長雄志知事は辺野古移設との矛盾さらに浮き彫り
政府は米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)の過半返還に続き、さらなる基地負担軽減を加速させる方針だ。一方、翁長雄志知事は普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対しつつ、県内移設を前提とする他の負担軽減策は容認するという矛盾の呪縛に向き合うことになる。
平成8年の日米間の沖縄特別行動委員会(SACO)合意に基づく負担軽減措置は、普天間飛行場の全面返還と北部訓練場の過半返還だけではない。積み残しの措置で、政府が次に照準を合わせるのが那覇港湾施設(那覇軍港)と浦添市の牧港補給地区の返還だ。
那覇軍港はSACO合意で浦添埠頭地区への移設を念頭に全面返還を明記。牧港補給地区については、SACO合意では部分返還にとどまったが、その後、全面返還に変更。倉庫群を沖縄市や読谷村などの米軍施設に移すことになった。
那覇軍港と牧港補給地区は、機能の県内移設が条件だ。浦添市長は昨年、軍港移設受け入れを表明し、沖縄市長と読谷村長も昨年以降、牧港補給地区の倉庫群の移設容認を表明。北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設を地元村長が容認したのと同じで、翁長氏にとっては、外堀が埋められた形だ。
翁長氏は辺野古移設阻止を主張し続ける一方、今年8月に牧港補給地区、今月には那覇軍港の移設容認を表明した。保守政治家としてSACO合意を認める立場だからだが、那覇軍港の浦添移設は辺野古移設と同様に海面の埋め立てを伴うため、辺野古移設反対との矛盾は明らかだ。
SACO合意の見直しや在沖海兵隊撤退の要求を強める社民党など県議会与党の革新勢力と翁長氏の溝は隠しようがなくなってきている。(半沢尚久)