政府が、英国と進める戦闘機の次世代ミサイル技術の共同研究を平成29年度に完了させる方針を固めたことが15日、分かった。日英の高い技術の組み合わせで世界最高水準のミサイルを開発できるとの報告書をまとめることも判明。それを受け共同開発に移行するか政治決断が焦点で、共同開発が実現すれば米国以外では初めての事例となる。
共同研究を行っているのは「JNAAM」(ジョイント・ニュー・エアトゥエア・ミサイル=共同による新たな空対空ミサイル)。政府は26年7月、国家安全保障会議(NSC)で共同研究を承認。武器輸出三原則に代わる防衛装備移転三原則に基づき、NSCが共同研究の可否を判断した初の事例で、同年11月から共同研究に入った。JNAAMの基礎は、英国やドイツ、フランスなど欧州6カ国が共同開発した空対空ミサイル「ミーティア」。それに航空自衛隊のF15戦闘機に搭載される同ミサイル「AAM4」の技術を組み合わせる。
ミーティアは高速を維持するエンジンが特長で、射程の長さは同じ種類のミサイルの中で随一とされるが、目標への誘導能力は高くない。AAM4は艦艇など大型装備に搭載されるレーダーを備え、目標の探知・追尾能力に優れている。脅威となる対象や実戦シナリオを想定したシミュレーションの結果、技術の組み合わせによる効果は大きく、性能は世界最高水準に達する見通しが立った。
共同開発が実現すれば、戦闘機パイロットはより早い段階で、より遠方からミサイルを発射でき、命中精度も高まる。敵の戦闘機との距離を縮めなくて済むため、敵の攻撃を回避しやすくなる利点もある。空自では42機を導入する最新鋭ステルス戦闘機F35に搭載することが見込まれる。
中国軍は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で28年6月、戦闘機が空自戦闘機に攻撃動作を仕掛け、12月には艦載機の殲(せん)(J)15を搭載した空母「遼寧」が同県の宮古海峡を通過し、初めて西太平洋まで進出した。JNAAMが開発されれば抑止力と対処力が強化されるが、コストの低減が課題とされる。
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