【社説】「民心」という名の野獣から法治を守る韓国の裁判官 

 サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の逮捕状請求が棄却されたことを受け、インターネット上では審査を行った趙義衍(チョ・ウィヨン)裁判官(逮捕状審査担当)に対する非難や侮辱、根拠のないうわさが広まっており、中には趙裁判官の個人情報を暴こうとする動きも見られた。またソウル中央地裁には業務に支障が出かねないほど抗議の電話が殺到しているという。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)には「趙裁判官は学生時代、サムスンから奨学金を受けていた」「趙裁判官の息子はサムスンに就職する確約を受けた」といった虚偽の情報も広まっている。一部野党からの批判もひどい。最大野党「共に民主党」からは「司法部につばを吐きたい。司法部は狂っている」などのコメントが出ていた。

 これらの批判に良識がないのはもちろんだが、そもそも令状制度に対する基本的な理解が欠如している。趙裁判官が令状棄却の決定を下したのは、李在鎔氏が無罪だと言っているわけではない。在宅で起訴された場合でも、裁判の過程で特別検事が容疑を立証すれば、いくらでも有罪となる可能性があるし、実際にそのような前例はいくらでもある。「後から無罪になるかどうかに関係なく、とにかく今すぐ身柄を拘束せよ」などと叫ぶのは「法律など必要ない。力尽くでやれ」というのと同じだ。3カ月以上にわたり続いた抗議行動によってこのように危険な風潮が生み出されたとすれば、これは尋常なことではない。 

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