ああいう機能不全家族って結構そこかしこに転がってるんだよね。
ただ、あのマンガのように、「仲の良い家族像」という呪縛があまりにも強烈で、
作者の大月悠祐子氏のように、22年もの間、自らを責め苛み苦しみ続けてでも、
そんな想像を絶するような物語は、案外そこかしこに転がっているんだよ。
「大丈夫です あせらないで 落ち着くまで いくらでも待ちます」といってくれた編集の人は、
良きカウンセラーのような人で、
ただ世の中、そんな良きカウンセラーたりえるひとと言うのはまず出会えることはない。
それまでの間、「ずっと動けないまま」で苦しみ続けていたのだ。
おそらく、吉沢やすみ氏本人にも「悪意」というのは全くないのだろう。
だから人は、そういう人たちによって想像を絶するほど心を破壊される。それには際限がない。
相手が悪い人だと思えれば逆らいようもあるのだけれど、
相手に悪意がなく、私のためを思ってくれている「ということになっている」のだから、
心のなかで、自分の苦しみが処理できないのだ。
今の世の中の息苦しさというのは、
こういう例が原因であることが実はほとんどなのじゃないかと思っている。
政治のせい、
社会のせい、
わかりやすい「悪意の存在」を想定すれば「処理」はしやすいけれど。
あのマンガに衝撃を受けるのなら、
そういう「善意を偽装した恐怖の暴君」の本質を、ちゃんと見極められるようになった方がいいと思う。
耳触りの良いことを言いながら、
激しい怒りや罵倒、人を追い詰めるような冷笑や皮肉を時折見せるという人には、
最も警戒しなくてはならないだろう。