「Amazon Alexa(アマゾン・アレクサ)おそるべし。スマートスピーカーの時代が来た」
2017年1月5日から8日、米ラスベガスで開催されたテクノロジー関連展示会「CES」を取材・視察した関係者の意見は、この一言に集約されるだろう。
スマートスピーカーとは、Wi-Fiを内蔵し、音声コマンドに対応したスピーカーを指す。具体的には米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)が米国やドイツで販売している「Amazon Echo」シリーズや、Google(グーグル)が米国で販売している「Google Home」のことを指す。Alexaとは、Echoで使われている音声技術であり、Amazonはこれを広く他社にライセンス提供している。
この製品の市場が、米国では16年後半、急速にブレークしたのだ。Business Insiderが16年12月28日付の記事で伝えたところによれば、Amazonのスマートスピーカー「Echo」は、16年だけで520万台が販売されたという。Google Homeは16年11月から販売を開始したところで数ははっきりしないが、販売は好調であるようだ。北米でビジネスをする家電メーカー側の認識として、「家庭にはスマートスピーカーが普及しつつあり、連携する機能は求められて当然」という状況になってきているのだ。
その影響は、CES会場にはっきりと表れていた。そこかしこに、Alexaを使った機器があふれていたのだ。
もっとも注目を集めていたのは、LGエレクトロニクスが発表した、Alexaに対応した冷蔵庫だ(写真1)。冷蔵庫についた液晶画面でレシピを見つつ、声でAmazonへの買い物を指示できる。
これだけでなく、「音声対応」機器を見かけると、そのほとんどにAmazonのロゴがあった。理由は、Amazonが自社のクラウドであるAWSで「Alexaを機器やサービスで使うための機能」を公式に公開していること、Alexaを使った機器を開発するルールを定めていて、Amazonとともに機器を作ることが簡単であることだ。レノボもAlexaを採用した「Lenovo Smart Assistant」(写真2)を発表している。
それに比べると、ライバルであるGoogleの動きは鈍い。Google Homeが発売されたのも16年秋のことで、まだ数カ月しかたっていない。ソニーが自社製品とGoogle Homeの連携をアピールした(写真3)程度である。
筆者の目から見て、Googleは状況を必死に追いかけており、Amazonは「スマートスピーカー」の市場が出来上がって行く中で見事なスタートダッシュを決めているように思う。
Googleは、テレビ向けのOSである「Android TV」に、音声機能である「Googleアシスタント」の対応を発表した。現在、Android TVは音声で番組検索が行えるのだが、今後は、チャンネルや外部入力の切り替え、音量調整といったことも音声で行えるようになる。いわば、テレビそのものをスマートスピーカー化できるようになっていくのだ。
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