熊本地震で大きな被害を受けた東海大阿蘇キャンパス=2016年12月24日、南阿蘇村(大倉尚隆)
農学部は1980年に開設され、現在の学生数は約千人。地震で校舎などが損壊し、敷地内に地割れが生じたため阿蘇キャンパスでの授業を休止。昨年7月から、2017年度末までの暫定措置として熊本キャンパスで授業を実施している。
東海大は、阿蘇キャンパスで安全が確認できた施設や設備を復旧・整備し、18年度以降も引き続き熊本キャンパスを使いながら、阿蘇での実習など専門授業や研究を順次再開させる方針。阿蘇キャンパスのどの施設や設備が使えるかは調査を続けているが、阿蘇での授業が部分的にも再開すれば、農学部の学生は両キャンパスを行き来して授業を受ける形になる。
東海大は地震後、阿蘇キャンパス存続の可否を判断するため、学内外の有識者による調査委員会を設け、昨年8月まで地盤の安全性を調査。結果は明らかにしていないが、関係者によると、一部校舎の下に断層が見つかったという。
ただ、雄大な自然環境に恵まれ、農場や牧場を併設した阿蘇キャンパスの特性などを重視し、安全性を確保した上で農学部を現地に残す意向を固めたもようだ。
地震では、阿蘇キャンパス周辺の被害も甚大で、アパートや下宿が倒壊して学生3人が死亡。阿蘇大橋が崩落したほか、国道57号やJR豊肥線、南阿蘇鉄道が寸断されるなど交通網も打撃を受けた。
同村黒川地区には学生約750人が生活していたことから、村や県は阿蘇キャンパス存続を強く要望。村区長会や農学部OBらがそれぞれ署名と嘆願書を提出し、村内での存続を求めていた。(熊本地震取材班)
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