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【大相撲】

稀勢の里が1敗死守 今場所金星1つの勢を撃破

2017年1月20日 紙面から

土俵下の白鵬の目の前で勢(左)を寄り切りで下し1敗を守った稀勢の里=両国国技館で(神代雅夫撮影)

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◇初場所<12日目>

(19日・両国国技館)

 1敗で単独トップに立つ稀勢の里(30)=田子ノ浦=は、勢を慎重に寄り切った。1差で追う白鵬(31)=宮城野=は栃煌山を引き技で仕留め、平幕の貴ノ岩、逸ノ城とともに2敗を守った。かど番の琴奨菊(32)=佐渡ケ嶽=は玉鷲に完敗して負け越し、大関からの転落が決まった。照ノ富士も負け越し、春場所はかど番となる。豪栄道は遠藤に敗れて4敗目。

 30秒近い熱戦を制して単独トップを守っても、稀勢の里は眉1つ動かさなかった。対照的に息も絶え絶えの同い年の勢のことは、チラリとも見ない。取組後の支度部屋では「まあきょうはきょう。あしたはあしたですから」と今場所の決めぜりふ。すでに13日目の大関豪栄道との一番へ、集中力を高めていた。

 勢にはこれまで13勝0敗と圧倒してきたが、立ち合いは相手ペース。今場所、鶴竜を撃破して金星をつかみ、勝ち越し王手という勢いそのままの出足にてこずった。

 土俵際、踏ん張って押し戻したが、腰高がたたって仕留めきれない。互いに右上手で引いたまわしは1枚。大関は武器の左のおっつけで切って、相手の攻めをしっかり寸断した。こうなれば勝ちパターン。じっくりと左四つに持ち込んで寄り切った。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「あと3日が難しい。気持ちの面で落とし穴もある。これからよ」とここからが胸突き八丁と言わんばかりに、優勝争いの厳しさを強調する。自身は、関脇で初優勝した1986年春場所、千秋楽で敗れたものの、13勝2敗で賜杯をつかんだ。「一番一番を乗り切ったらパレードがある。それを経験したら、もう1回優勝したくなる。オレの場合はそうだった」と経験談を持ち出し、覚醒を促す。

 無表情を貫いた帰り際、駐車場でのファンの声援に、しっかりとうなずいて応えた稀勢の里。「まあ、これからじゃない」。30歳の無限の可能性を誰よりも信じ抜いた先に、賜杯が待っている。(志村拓)

 

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