登録 : 2017.01.19 23:28 修正 : 2017.01.20 10:27

キル・ユンヒョン東京特派員//ハンギョレ新聞社
 3年3カ月間に会った日本人たちの中で、話がよく通じた人々はたいてい80代以上のおじいさんだった。2014年6月、ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎氏と行った対談が思い出される。1935年、愛媛県で生まれた大江氏は9歳の時に敗戦をむかえる。戦争末期に日本の学校で行われていたことは「はやくおとなになって天皇のために死ななければならない」という軍国主義教育だった。敗戦の空虚感の中で彷徨った大江氏の前に登場したのは、日本の新しい憲法だった。「当時学校の先生が、新しく作られた憲法には『個人の権利に関する内容と今後日本は戦争をしないという誓いが入っている』という話をした。それで非常に大きな希望を持ったし、勉強して大学に行くことを決心した」

 1927年生まれの平岡敬・元広島市長は幼年時期をソウルで過ごした。彼は京城中学校(現、ソウル高)在学時期「当時の教育には一種の朝鮮人蔑視のようなものがあった。学校では『私たちは日本人だから朝鮮人の嘲笑を買ってはならない』といつも教えた」と話した。彼は、日本では最初に韓国人被爆者の問題について報道したし、市長在職時の1991年「広島平和宣言」に「日本はかつての植民地支配や戦争で、アジア・太平洋地域の人びとに大きな苦しみと悲しみを与えた」という内容を盛り込んだ。1918年生まれでもう100歳を迎える“保守”の中曽根康弘元首相までが、2015年8月に日本は「中韓両国との歴史あつれきには慎重な態度で臨まなければならない。民族が負った傷は三代百年を経ても消えない」と話したことがある。日本が犯した侵略の歴史を直接経験し、それで韓国に対して常に申し訳ない心を大事にして生きてきた日本のおじいさん、おばあさんは、既に年老いてほとんどが亡くなった。

 時間が流れ、多くのことが変わった。今、日本の主流は1940年代後半~1960年代に生まれた人々だ。朝鮮半島に対する彼らの情緒を示す2つの報告書がある。一つは「安倍談話」を発表する直前に安倍首相が作った専門家集団「21世紀懇談会」が出した報告書だ。この報告書は、日本の朝鮮半島植民支配に関して「1920年代には経済成長も実現されたが、1930年代後半から苛酷化された」という一行で整理している。この文章からはかつての植民支配に対する謝罪や反省の情緒を読むことはできない。報告書がその代わりに長く記述したのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権を牽引した「386世代」の反日感情だった。韓国が“理性”的には日本との協力関係を構築しなければならないことを分かりながらも“心情”的には反日的歴史認識に巻きこまれてしまうということだ。

 もう一つの報告書は、世界平和研究所がこの12日に発表した「米国新政権と日本」という報告書だ。この報告書は、北朝鮮核問題に対応するために韓米日が「絶えず協力」しなければならないということを強調している。報告書はそこからさらに一歩踏み出して、日本政府に北朝鮮を直接打撃できる「反撃能力」(敵基地攻撃能力)を持つことを要求している。彼らはなぜこのように焦っているのか。原因はまたも韓国だ。日本主流の胸中奥深くには「いつか我々を裏切って中国についてしまう」韓国に対する深い「戦略的不信」が存在する。

 日本軍「慰安婦」問題に対する12・28合意の処理をめぐって、韓日両国双方に厳しい時間が続いている。多くの人から非難を覚悟をしながら下した個人的結論は「安倍の日本」から韓国が何らか追加的な措置を引き出すことは「不可能」だということだ。おそらく日本は、韓国を含むアジア人から尊敬を受けることは難しいだろう。図体が大きく、自己中心的な隣国とどのように付き合うべきなのだろうか。

キル・ユンヒョン東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-01-19 18:33
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/779490.html 訳J.S(1695字)

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