【社説】無罪確定ではないサムスン、大衆の反感に目を向けよ

 李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の逮捕状請求が棄却されたといって、無罪が確定したわけではないという事実は李副会長とサムスンもよく承知しているはずだ。有罪か無罪かは今後法廷の判断に委ねられる。財界はひとまず安堵(あんど)の雰囲気だという。韓国経営者総協会(経総)の金栄培(キム・ヨンベ)副会長は「(カネを)出さなければ出さなかったとたたかれ、出せば出したといってたたかれ、企業が狭間でどうしようもないという状況は惨めこの上ない」と指摘した。実際そうなのだから一理ある話だ。

 しかし、李副会長の逮捕状棄却以降、インターネット上で否定的な世論が主流となっている現象に財界は注目すべきだ。インターネット上には「法の上にサムスンがあるのか」などと1万件を超える反応の書き込みがあった。今回の事件の実体と法理的な争いをネットユーザーが正確に知るはずはない。現在の社会的ムード上、市中にさまざまな憶測や誤解が広がっているのも事実だ。それでも判事の法理的な判断すら受け入れられないほど、韓国社会の根底に反財閥心理が広く根付いていることは否定できない。

 それだけサムスンを含む韓国の大企業が多くの国民から信頼されずにいることを示している。理由がないわけではない。財閥2、3世によって繰り返されるおかしな行動、下請け企業に納品価格を強引に引き下げさせる上下意識、企業内部取引で容易にカネを稼いできたオーナー一族の専横などは今に始まったことではない。優遇発注、う回贈与などあらゆる抜け穴を動員し、財閥が息子、孫の世代まで富と経営権を世襲することも国民に剥奪感、被害意識を植え付けてきた。そんな状況で誰かがマッチを擦っただけで、瞬く間に大炎上する。最近のろうそく集会による世論をバックに大統領選候補者が「財閥改革」「財閥解体」を叫ぶのは、そうした心理を利用したものだ。

 李副会長は言うまでもなく、他の大企業も今回の事態で示された民意を謙虚に受け入れなければ、反企業の扇動は止まらないだろう。株式市場に上場し、国民の投資を受ける公開企業は正常では不可能に近い相続を無理に推し進めることからやめるべきだ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース