アダルトビデオへの出演を拒否した女性に所属事務所が損害賠償を求めた訴訟を巡り、日本弁護士連合会が、事務所側代理人を務めた60代の男性弁護士について「提訴に問題があり、懲戒処分に当たる可能性がある」と判断し、所属する第二東京弁護士会に審査を求める決定をしていたことが20日までに分かった。
提訴を理由にした懲戒審査は異例。弁護士は「懲戒には当たらない」と主張。弁護士会が懲戒すべきかを判断する。
訴訟で事務所側は女性に違約金約2400万円を請求。2015年9月の東京地裁判決は「意に反して出演を迫っており、契約解除のやむを得ない事情があった」と請求を棄却し、確定した。
その後、女性らとは面識のない第三者から弁護士への懲戒請求があった。弁護士会は昨年3月、審査は不要と判断したが、異議申し立てを受けた日弁連の綱紀委員会は同12月、「多額の賠償を請求した提訴は、ビデオ出演を心理的に強制する効果がある」として審査を求めた。
弁護士は「提訴を理由に懲戒処分されるのであれば、弁護士は依頼者次第で受任を避けるようになりかねず、国民の裁判をする権利が侵害される」と話している。〔共同〕