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全11室完全個室の夜行高速バス「ドリームスリーパー 東京大阪号」公開
東京・池袋~大阪(OCAT、門真車庫)間で1月18日から運行
2017年1月12日 21:33
- 2017年1月11日 公開
- 2017年1月18日 運行開始
関東バスと両備ホールディングスは、完全個室型の夜行高速乗合バス「DREAM SEEPER(以下、ドリームスリーパー 東京大阪号」を、1月18日から共同で運行を開始する。運行に先立ち報道陣に公開された。
車両の企画や開発は両備ホールディングス側が行なっていて、外装デザイン以外はどちらの車両も内装デザインや装備仕様は同一。「ドリームスリーパー」のネーミングで両備グループの中国バスで広島~横浜間を運行中だが、こちらでは高品位な座席タイプ「ゼログラビティシート」は一部座席のみだったものを、今回は全席に拡大し、さらに内装の質感などを高めた第2弾といえる仕上がりとなっている。
これまでのドリームスリーパーのネーミングやロゴは「DREAM SLEEPER」で、今回のバスでは新たに「DREAM SLEEPER SUPERIOR CLASS」とし、「SUPERIOR CLASS」ロゴやロゴマーク中央に「S」を追加して差別化をしている。
東京側は池袋駅西口7番のりば、大阪側はなんばの大阪シティエアターミナル(OCAT)および両備バス門真車庫を、両備ホールディングスと関東バスが所有する各1台が1日1往復する。
東京発(22時50分)~大阪/OCAT着(06時40分)~両備バス門真車庫着(07時30分)
両備バス門真車庫発(21時50分)~大阪/OCAT発(22時40分)→東京着(06時40分)
乗車には運賃のほか座席料金が必要。通常片道料金は、大人料金2万円(運賃9000円、座席料金1万1000円)、小児料金1万5500円(運賃4500円、座席料金1万1000円)。2月末まで運行記念割引で、大人運賃2000円、小児運賃を1000円割り引く。
予約購入は発車日の1カ月前の午前9時から可能。新幹線料金より高い料金設定となるが、移動時間自体が快適なこと、宿泊料金がかからないこと、朝に目的地到着後にすぐ行動ができることなどをメリットとして考えるビジネスマンはもとより、女性を含めた幅広い層をターゲットとしている。
ドリームスリーパー 東京大阪号の車内は、扉が付き天井まで仕切られた完全個室の客席が大きな特徴で、業界初の仕様。
全面カーペット敷きの中央通路がある以外は、11席のすべてが個室となっている。仕切りにカーテンが使われているのは、後述するパウダールームのみで、ほかはすべて上部にも隙間のないパーティションや扉が使われていて、プライバシーはしっかり守られ安心感はとても高い。室内には着席時以外のみ動作する監視カメラがあり、走行中、安全確認のために運転席モニターに表示される仕組み。プライバシーに配慮しつつ安全を確保している。
車内へは靴を脱いでスリッパで乗車する。車内デザインはブラックとメタルを組み合わせたシャープな部分と、テーブルなどは木目調を合わせていて、落ち着いた作り。車内ではリラックスアロマが焚かれる。
室内には全席に大きな「ゼログラビティシート」が配され、NASAが開発したという背もたれ角度40度、座席角度30度、フットレスト水平の「ゼログラビティ」姿勢にすることができる。リクライニング、チルト(高さ)、フットレストは個別で微調整が可能だが、ボタン一つでゼログラビティ姿勢への移行とフルリセットができるので、とても分かりやすい。
シートは昭和西川が開発した「ムアツクッション」が採用され、寝返りをうたなくても血行を妨げずに良質な睡眠ができるという。室内の照明はすべて調光可能。窓は大きくとられているが、もちろんカーテンを閉めることもできる。
ホテルさながらのアメニティ類やミネラルウォーター、無料のWi-Fi、USB充電ポート、100Vコンセント、カバー付きのオーバーイヤー型ヘッドフォンとリラックス音楽チャンネルなど、さまざまなサービスが提供されている。なお、ブランケットとヘッドフォン、USBケーブル(iOS端末/Android端末用)は貸し出し対応。
車両中央には下の1階に下りる階段があり、その階段下に個室トイレを備えている。温水洗浄機能と水洗浄機能はもとより、温便座と流水音機能も付いた、ホテルさながらの高機能なトイレ。
ほか、車両の最後方には本格的なパウダールームも用意されている。白を基調とした清潔感あるスペースで、カーテンにより仕切られ、折りたたみ式の椅子も備えてある。鏡の周囲に明るいLED照明があり、化粧など身支度が快適な作りになっている。
記者説明会では、冒頭に関東バス 代表取締役社長 内藤泉氏が、「ドリームスリーパー 東京大阪号は、日本で初めての全席完全個室型のバスです。両備ホールディングスから、共同運行のご提案をいただいたのは平成27年(2015年)の2月でした。今までと違った新しいサービスの形を夜行高速乗合バスに提案できるのではないかと、“やりましょう!”と答えたことを覚えています。それから2年間かかりましたが、両備ホールディングスは内装の開発・設計で大変だったことと思います。我々の方は開発は両備ホールディングスに任せきりで、のちに弊社の仕様に合わせていただいたという状況です。スーペリアクラスの車両を堪能いただければと思います」と開発の経緯などを絡めて挨拶があった。
続けて、両備ホールディングス 代表取締役会長 小嶋光信氏が、「このドリームスリーパー 東京大阪号は、世界一と言ってもよいと思います。コストだけで勝負してきた高速バスに対して、いかに快適性、安全性、すばらしい居住性というものを追求したバスを作っていきたいという願いをもって、このバスを開発してきました。初めてドリームスリーパーを出した時には、果たして客の信頼、支持をいただけるのかと思っていましたが、反応がとてもよく驚きました。おかげさまで乗りたいバスのトップをとることもできました。
この第2弾では完全個室型となり、単に居住性がいいというだけでなく、アロマの香り、心地よい音楽、調光可能なライティングといったものを体で感じていただけることが大きな特徴です。個室内には全室ゼログラビティーという宇宙遊泳のときのように、人が自然にリラックスするシートを採用しています。ムアツクッションによって寝返りをうたなくても体の負担を少なくしています。今までは、安く運ぶという観点でしたが、これからは快適、安全に、移動そのものを楽しみにしていただけるということが、このバスの一番大事にしているところです。この新しい提案が、新たな高速バスのありかたとして、皆さまの信頼を得られればたいへんうれしく思います。バス業界に新たな価値を創造し、みんなが憧れるバスに育っていくことを心から願っています」と挨拶があった。
最後に、開発を担当した両備ホールディングス 代表取締役副社長 松田敏之氏が、バスの特徴などを「子供の頃なりたかった職業がバスの運転手でした。バスの運転手は紳士で、遠足などのたび、かっこいいバスが来て憧れました。規制緩和以降、車両自体の新規開発も進まず、20年以上形状も変化していません。新規参入が増え、こぞって値段競争をしたのが実態です。夜間高速バスは、時間を最大限有効利用できます。そこに快適性が加われば、時間を有効に使いたいから乗ってもらえるようになると考えています。
安全を最優先とした運輸サービス業として、どうやってバスに感動を作るか、という観点で開発をしました。できあがった車両は、これまでのドリームスリーパー1に磨きをかけたものにしています。4感を癒やし、眠りに誘引するという基本コンセプトは変えずに、まずは紳士が出迎えをし、席まできっちり案内します。新品のスリッパを履いていただき、アロマの香りで、まさにホテルのエントランスに入ったようなイメージになります。座席は完全に仕切られたプライベート空間です。上には荷物棚があります。座りましたら(シートは)ゼログラビティモードというNASAが開発した人間が浮遊していると感じる角度、胎児が浮いている角度を再現する角度にボタン一つで設定できます。今回生まれた場所に近い音も用意しています。川、山、海、森といった自然の音を聴きながら、体の疲れが癒やされていくのではないかと思います。車両中央1階には、高速バスでは珍しい、温かい便座の自動洗浄機付きトイレも用意しました。後方にはパウダールームも用意しています。3面鏡で女性も身支度をしていただけます。
自宅よりも快適に過ごしていただけるよう、さまざまな仕掛けを作っていますので、百聞は一見にしかず、ぜひ乗車して体験いただければと思います。多数の方々のご尽力で、今回東京~大阪間という夢の路線で提供することができました。価格が2万円と高く感じられるかも知れませんが、ホテルに宿泊する必要はありませんので、トータルコストで考えれば、決して高価ではありません。時間を最大限、有効活用していただければと思います」と詳しい説明があった。