厳しい寒気が列島に流れ込む季節に入った。

 数年に一度の寒波が押し寄せた14、15日には、広い範囲で大雪となり、交通機関にも影響が出た。地球温暖化で雪が減る傾向にある一方で、屋根の雪下ろし中の転落等で100人近くが毎年のように亡くなっている。

 過去の経験を生かし、雪害を最小限に食い止めたい。

 とりわけ独り暮らしや高齢者だけの世帯は注意が必要だ。

 総務省消防庁によると、昨年春までの5年間の雪による犠牲者442人のうち、7割が65歳以上だ。雪深い山あいでは、高齢化で雪下ろしの担い手不足が深刻だ。1人で作業しない。携帯電話を持ち、ヘルメットや命綱をつける。こうした基本を守ってほしい。地域での一斉雪下ろしや、ボランティアや行政による支援も広げたい。

 災害時には地域の力も試される。「互助の輪」から抜けている家がないか確かめておこう。

 雪害は日本海側の豪雪地帯だけの問題ではない。20日には南岸低気圧が近づき、北日本から西日本にかけての太平洋側でも降雪が予想される。

 3年前、関東甲信への大雪では交通網が寸断され、孤立集落や、立ち往生する車が続出し、暮らしに深刻な影響がでた。物流が滞り、山梨県ではコンビニなどで食料品が底をついた。

 雪の重みで電線が切れて停電すれば、電話での救援要請や安否確認も難しくなる。昨年1月には九州で水道管が凍結して大規模な断水もおきた。自治体は様々な事象を想定し、保温策などを徹底しておくべきだ。

 近年、積雪が観測史上最高を更新する地点が増え、「ゲリラ豪雪」が局所的に発生している。今月15日に約11年ぶりに積雪が10センチを超えた広島では、午前6時から3時間で13センチと、雪国並みのペースで降り続いた。

 大丈夫と思って車で出かけ、立ち往生すると、除雪作業の妨げにもなる。できるだけ車は控え、やむなく運転する場合もスタッドレスタイヤやチェーンを早めに装着する必要がある。

 国土交通省は、立ち往生の原因をつくった車にペナルティーを科すことを検討中だ。ただ、それだけで解決する問題ではない。路面状況の情報をこまめに発表し、迅速な道路規制にもあわせて力を入れてほしい。

 受験シーズンのさなか。天気予報にやきもきする関係者も多いだろう。気象庁、自治体のホームページや内閣府の防災ツイッターなどで最新情報を入手できる。雪に慣れない地域こそ備えを万全にしておきたい。