【社説】トップ企業までが人を減らす「雇用氷河期」韓国

 韓国雇用市場に「大寒波」が吹き荒れている。韓国上場企業の売上高上位100社(2016年9月末現在)で、従業員数は1年前に比べ約7000人減少した。雇用を増やした企業もあったが、その逆もかなりあったということだ。経営難で構造調整を行っている造船業界が特に深刻だ。この1年に造船大手3社を去った従業員は6000人を超える。下請け業者まで含めると、失業者数ははるかに多くなる。

 韓国最大企業のサムスン電子さえも、事業部の売却により従業員が1年前に比べ3000人以上減少した。同社とサムスン物産、サムスンSDI、サムスン電機などサムスン系列7社の減少数は1万2000人を超える。

 それだけではない。韓国金融業界でもここ3年間に1万2000人以上の雇用が減少した。銀行、保険会社、証券会社など金融関連102社の採用数は、13年には22万人を超えていたが、今では20万人台に落ち込んだ。

 大企業や金融企業の労働者は、生活が安定した中間層に属する。そんな人々までもが雇用市場から締め出されれば、社会の不安が増幅しかねない。増えているのはほとんどが週36時間未満の雇用だ。製造業の就業者数も減った。16年の若年層(15-29歳)失業率は9.8%と過去最悪を記録し、失業者の総数も初めて100万人を超えた。

 こうした状況から、一時は減っていた自営業者が再び570万人まで増えた。街には飲食店やフライドチキンの店があふれている。1300兆ウォン(約125兆円)を超える家計負債とは別に、自営業者の負債だけで464兆ウォン(約45兆円)に上っている。これもやはり、韓国経済にとっての不安要素だ。

 雇用寒波は今年もおさまる気配がない。弾劾政局による政治の混乱をはじめ国内外の悪材料が多く、景況感がアジア通貨危機時の水準にまで悪化しているためだ。企業は採用も投資も避ける傾向にある。政治面での不確実性の解消、新産業への投資活性化に努め、この状況を打開せねばならない。大企業も、コスト削減のためと安易に人員削減に踏み切る姿勢をあらためる必要がある。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース