スウェーデンに住む30代の韓国人の知人Aさんのテラスには焼肉店で使われるようなテーブルがある。食卓のまん中が炭火用にくり抜かれたテーブルと俗称「ファン」と呼ばれる、天井からぶら下がる円筒形の換気口まで完ぺきな焼肉専門店の風景だ。Aさんとスウェーデン人の夫が自らソウル清渓川(チョンゲチョン)で小道具を空輸で取り寄せて設置した「作品」だ。スウェーデンのレストランは客の前に火を置くことを禁じているため、韓国式焼肉店を開くことはできない。窮余の策で作った焼肉専門店の食卓を、近くに住んでいる韓国人の知人と囲んでホットプレートで肉を焼き、自家栽培したゴマの葉で焼肉を巻いて食べると、ここがスウェーデンなのか韓国なのか分からなくなってくる。
このような小さな幸福のためにテーブルを削り自家菜園の労を惜しまないのは「キムチなしでは生きていない韓国人」だからではない。旅に出ればそのうち一食はとにかく韓国式食堂で食べなければ気が済まない既成世代とは違い、最近の若者たちはキムチがなくても1カ月は全く平気だ。「DIY焼肉専門店」はうつ病になるまいとする、幸せになろうとする彼女の必死の努力だ。
北ヨーロッパの冬はとても陰鬱だ。朝9時を過ぎてようやく雲の隙間から太陽が顔を出す。さんさんと差し込む太陽の光は期待してはいけない。それさえも6~7時間で光は終わり闇が再びやってくる。午後4時になればみんな家に帰り、再び日が昇る時まで家族と長い夜をなんとか過ごす。筆者も出張のためにデンマークに半月ほど滞在したことがあるが、ふと孤独で涙が濡れたこともあった。10日ぐらい過ぎると、他の記者たちも「夕方になると孤独が前触れもなく訪れる」と打ち明けた。夏は反対に夜11時になっても日が沈まない。このような極端な環境のため、うつ病が風邪のようにありふれている。
このように過酷な環境にも、スカンジナビアの人々の幸福指数が高い秘訣は何だろうか。デンマークで会った20代の海外同胞Bさんは、大学生の時、「幸福とは何だろうか」という悩みを抱えて初めてデンマークを訪れた。汽車に乗ってデンマーク全土を訪ね歩き、出会ったデンマークの人々に「いま幸せか」と聞き回った。彼らは迷うことなく「両親がいるから」「やりたい勉強ができるから」等、とても平凡な理由で幸せだと答えた。いま幸せに暮らしているか、何が自分を幸せにしているのかを絶えず考える力が、デンマークを幸福指数1位の国にしているのではないだろうか。また、その幸福に対する明確な主観が平均85%に達する投票率を牽引し、平凡な国民が幸せなシステムを作っているのではないだろうか。
先日、韓国のある就職ポータルサイトが調査したところ、成人中70.8%が「機会があれば移民する意向がある」として「脱朝鮮(ヘル朝鮮を脱出するという意味)」を希望した。回答者の半分以上が激しい競争から抜け出したかったからだと答えた。「これではない」と思った2016年が過ぎ、新しい次の5年をどのように生きるべきが選ばなくてはならない2017年だ。ぜひことしは、私もあなたも幸福に対する答えを胸に投票場に行けますように。
イ・ヒョン/社会2部記者
このような小さな幸福のためにテーブルを削り自家菜園の労を惜しまないのは「キムチなしでは生きていない韓国人」だからではない。旅に出ればそのうち一食はとにかく韓国式食堂で食べなければ気が済まない既成世代とは違い、最近の若者たちはキムチがなくても1カ月は全く平気だ。「DIY焼肉専門店」はうつ病になるまいとする、幸せになろうとする彼女の必死の努力だ。
北ヨーロッパの冬はとても陰鬱だ。朝9時を過ぎてようやく雲の隙間から太陽が顔を出す。さんさんと差し込む太陽の光は期待してはいけない。それさえも6~7時間で光は終わり闇が再びやってくる。午後4時になればみんな家に帰り、再び日が昇る時まで家族と長い夜をなんとか過ごす。筆者も出張のためにデンマークに半月ほど滞在したことがあるが、ふと孤独で涙が濡れたこともあった。10日ぐらい過ぎると、他の記者たちも「夕方になると孤独が前触れもなく訪れる」と打ち明けた。夏は反対に夜11時になっても日が沈まない。このような極端な環境のため、うつ病が風邪のようにありふれている。
このように過酷な環境にも、スカンジナビアの人々の幸福指数が高い秘訣は何だろうか。デンマークで会った20代の海外同胞Bさんは、大学生の時、「幸福とは何だろうか」という悩みを抱えて初めてデンマークを訪れた。汽車に乗ってデンマーク全土を訪ね歩き、出会ったデンマークの人々に「いま幸せか」と聞き回った。彼らは迷うことなく「両親がいるから」「やりたい勉強ができるから」等、とても平凡な理由で幸せだと答えた。いま幸せに暮らしているか、何が自分を幸せにしているのかを絶えず考える力が、デンマークを幸福指数1位の国にしているのではないだろうか。また、その幸福に対する明確な主観が平均85%に達する投票率を牽引し、平凡な国民が幸せなシステムを作っているのではないだろうか。
先日、韓国のある就職ポータルサイトが調査したところ、成人中70.8%が「機会があれば移民する意向がある」として「脱朝鮮(ヘル朝鮮を脱出するという意味)」を希望した。回答者の半分以上が激しい競争から抜け出したかったからだと答えた。「これではない」と思った2016年が過ぎ、新しい次の5年をどのように生きるべきが選ばなくてはならない2017年だ。ぜひことしは、私もあなたも幸福に対する答えを胸に投票場に行けますように。
イ・ヒョン/社会2部記者