まずは「自分は被害者であること」を固めて、次は謝罪と補償を求める−。韓国人が得意とする交渉戦術だ。被害者であることをPRするには、同調者を引っ張り込む。現場にいない同調者の発言を誇大に伝えるどころか、捏造することぐらい当たり前だ。
釜山の日本総領事館前に慰安婦像が建てられたことに、日本政府が対抗措置を取るや、韓国の政府やマスコミは早速、得意とする戦術を使い始めた。
今回の対抗措置は、韓国政府が日韓合意にある「ソウルの日本大使館前の慰安婦像撤去に向けた努力」をしないまま、釜山総領事館前への新設も事実上黙認したことが原因だ。
しかし、韓国外務省はすぐに「遺憾である」とのコメントを発した。「遺憾である」とは、そもそも被害者の側が使うべき言葉だろう。
韓国のマスコミは、まるで条件反射のように「被害者の立場」の報道を開始した。
なかでも、毎日経済新聞(2017年1月10日)の「韓国の危機の隙をつき後頭部を殴る“盗人猛々しい”日本外交」という東京特派員電は、その典型と思われる。
「慰安婦は強制連行された」という“朝日新聞のウソ記事”を、いまだに大前提にしている。だから、この特派員の頭のなかでは「韓国は被害国」であり続けているのであり、「最終的かつ不可逆的に解決」後の事態を切り離しては捉えられないのだ。
それで、「加害者の日本がむしろ被害者であるかのように国際世論を糊塗(こと=ごまかすこと)している」として、かわいそうな被害者であるウリ(=韓国で『われわれ』の意)を強調するわけだ。