2017-01-19
10年弱勤めたKDDI/KDDI研究所を退職しました
2017年1月15日付で10年弱勤めたKDDI/KDDI研究所を退職しました。
2007年4月入社だったので、あと3ヶ月でちょうど10年でした。
退職エントリー、読む側としては好きだったのですが、まさか自分が書くことになるとは思いませんでした。
なお、内容は思い出を振り返るチラ裏です。ポエムです。円満退社だと思っているので、残念ながら(?)旧所属をディスる内容とか過激表現は含まれません。
入社〜研修時代
研究所志望で新卒入社しましたが、KDDIは新卒で直接研究所採用をするルートはなく、どこに配属されるかは基本的に確約されません。
1ヶ月の全体研修の後、7月まで色々な部署で研修がありましたが、その中で、2ヶ月弱auショップで働くというなかなか貴重な経験をしました。その時は自分が使っていたW51CAをひたすらオススメして売ってました。
学生時代はネトゲ廃人でコミュ障だった私ですが、コミュ強な同期が多かったため、研修でちょっとだけ更生することができました。
研究所入所
2017年8月から希望通りKDDI研究所に配属となり、動画像符号化に関する研究がメインのグループに配属されました。学生時代は画像ではなくネットワーク系の研究室だったのですが、映像伝送を想定した通信に関する研究をしていて、面接時にマルチメディアと通信を融合したような研究がしたい、と言ったからそういう配属だったのかもしれません。なにしろグループ名がマルチメディア通信グループ(当時)でしたし。
面白かったのは、ほとんどのグループメンバーが学生時代とかに電子透かしを研究していた経験があったことです。私も実は卒論のテーマは電子透かしでした(研究と言えないレベルの黒歴史)
入所後はしばらくMPEG2〜H.264あたりの映像符号化の勉強&研究をしていました。
イベントとしては、2年目にラスベガスで開催されるNABという世界最大の放送機器展(CESの放送業界版)に展示説明員+調査で参加したのが思い出深いです。
社内ニート状態
細かいことは忘れましたが、入社2年目くらいは研究テーマは特に明示的に与えられることはなく、良く言えば自由に、悪く言えば放置プレイ状態でした(上記の動画像符号化は取り敢えずグループ共通言語としてのお勉強な位置づけ)
この頃はどんな研究も好きにやって良いと信じており、自分の興味の赴くままに変なことを色々やっていました。
Texture synthesisとか、Inpaintingとか面白そうーみたいなノリでした。アカン。
そんななので、これといった成果も出せずに、同期や後輩が既に走っているプロジェクトにJoinして成果を出しているのを見て焦ったりしてました。
ある種の暗黒時代みたいなものですが、ここで知識の幅を広げられたことは今につながっているのは間違いないなとも思います。
映像検索技術へ
上記のような状態のある日、TRECVIDという映像検索に関するワークショップ(母体はTRECというテキスト検索系ワークショップ)とか興味ある?みたいなことを上司に言われた気がします。
もともと研究所として、技術アピールも兼ねて継続的に参加していたが、TRECVIDのタスクが自社でやっている技術と合わなくなってきたのでここ数年は参加していなかった、みたいな経緯。
いわゆる競争型のコンペ面白そうということで、映像のコピー検出に関するタスク (content-based video copy detection) に参加することに。この頃は、Youtubeに著作権侵害コンテンツがアップロードされることが問題となっており、また自社でもコンテンツパトロールのようなこともやっていたので意義のあるタスクでした。
これまで画像も含め検索をやったことのある人がいなかったので、かなり手探りで、残念ながら最初は投稿すらできなかったのですが、2010年と2011年は投稿&幾つかの評価指標でトップ精度を出したりしました。
2010年は、共同研究でシリコンバレーのStanford Research Institute (SRI) に半年間滞在させてもらったりしました。
画像検索の研究と実用化
上記の通り映像検索をメインで研究していたのですが、当時中部大学の藤吉先生が精力的に啓蒙されていた、SIFTに代表される局所画像特徴用いたロバストな画像検索に興味があり、少しづつ大規模画像検索に研究分野をシフトしていきました。
今のようにdeep learningにより実用的な精度が出る前だったので、画像認識はまだ実応用が見えない状態でしたが、画像検索はかなり色々な応用が考えられ、自分の研究成果として開発した画像検索ライブラリが幾つかの実用化案件にまでたどり着けたのは嬉しかったです。
ちなみに実用化案件のいくつかは、下記のように自分がKDDI本体に戻っていた間に実施されていて、え、使われてたの?みたいな状態でした。
本社への帰任、博士課程、育児休職
2013年10月に、KDDI本体に帰任となり、それと同時に博士課程に入学しました。
そのあたりの経緯は下記のとおりです。
http://d.hatena.ne.jp/yu4u/20160922/1474526568
研究所への再出向
KDDI本体で働いている間、4ヶ月の育児休職を取ったのですが、2016年6月に復帰と同時に研究所に再出向となりました。
気づけば世の中はdeep learningに席巻されており、なんとなく動向はウォッチしていたものの真っ赤で近寄りたくない、とはいえやらないとね、ということでdeep learningを色々触り始めました。
流行り始めたのが2012年頃で、それから大分経つのでもうやることないんじゃ、と思いながら一気にキャッチアップしてみると、意外にハマってしまいました。まだまだやることありそうじゃない?
何故辞めたのか
…と、研究所に戻ってきて、意外にdeep learning面白い!みたいな状態で、何故やめるのか。色々要因はありますが、一番は違う経験、違う成長をしたくなったんだと思います。研究所に戻ってきて、居心地の良さを感じるとともに、居心地が良すぎて堕落する感覚がありました。
もう1つ、自身が扱うテクノロジーがビジネスに直結した仕事をしたいという思いが元々あり、研究所と事業部両方を経験したあと、その間の距離を再認識したことも大きいかもしれません。
ちなみに転職に関しては、会社を放り出されてもやっていけるように、外から見える成果を出すことを結構意識してはいました。Ph.D.を取得したのもその1つです。とは言え、性根は安定志向のヒッキーなので、自分から積極的な転職活動はしていませんでした(する理由もなかった)。
今回は、幸運にも自身の興味やキャリアの方向性にマッチする機会を頂いたというのが正直なところです。
というわけで、1月16日からDeNAで研究開発エンジニア(自称)として働いています!有給消化、ナニソレ?
KDDI研究所について
KDDI研究所は、研究者にとって自由な研究環境や、研究開発にかけられる規模という意味で本当に良い職場だと思います。ロケーションも、都心の飯田橋にも研究所のフロアがあります(育休復帰後はそちらで働いてました)。
私自身、元引きこもりのネトゲ廃人を良くここまで成長させてくれたと感謝の念しかありません(私が採用担当だったら、正直入社時の私は採用しなかったんじゃないか)
というわけで、私は残念ながら辞めてしまいますが、KDDI研究所で働くことに興味がある学生さんがいらっしゃいましたらぜひご連絡ください!
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