九州の地銀経営統合 10月に先延ばしを決定へ

九州の地銀経営統合 10月に先延ばしを決定へ
ことし4月の経営統合を目指していた九州最大の金融グループ、ふくおかフィナンシャルグループと長崎県の十八銀行は、公正取引委員会の審査が想定より長引いていることから、経営統合の時期を半年間先延ばしして、ことし10月とすることを20日にも決める方針です。
九州の3つの地方銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループと、長崎県最大手の十八銀行は去年2月、経営統合することで合意し、統合の時期はことし4月を目指していました。

しかし、経営統合した場合、長崎県内での貸し出し全体に占めるシェアがおよそ7割に上ることなどから、独占禁止法に照らして問題がないかどうかを調べる公正取引委員会の審査が想定より長引いています。

このため、ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行は、経営統合の時期を半年間先延ばしして、ことし10月とすることを20日にも決めることにしています。

地方銀行の経営環境は、人口の減少や日銀のマイナス金利政策の影響などもあって厳しさを増しています。

金融庁は、地方の金融機関に対し、経営統合などの再編を選択肢の一つとして検討するよう促してきた経緯もあるだけに、両者の統合が実現するのか、公正取引委員会の判断が注目されています。

金融庁内部から懸念の声

ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行が、経営統合の時期を延期する要因となっている公正取引委員会の審査に、金融庁の内部からは懸念する声も出ています。

地方の金融機関の経営環境は、人口の減少や金利の低下によって、今後一段と厳しくなることが予想されています。
このため、金融庁は地方の金融機関に対し、ほかの金融機関との経営統合を選択肢の一つとして検討するよう促してきました。

ただ、今回の統合計画について、公正取引委員会は両者が同じグループになれば、長崎県内での貸し出しや預金の全体に占めるシェアが圧倒的な規模となるため、貸し出しの金利が高止まりするなど、利用者にデメリットが生じるおそれがあるとして慎重に審査を進めています。

これに対し、金融庁は地方の金融機関について、都道府県をまたいだ貸し出し競争が活発になっているため、仮に特定の県内でシェアが高まったとしても、貸し出し金利を引き上げるような事態は想定しがたいと見ています。

このため、公正取引委員会が最終的にどのような判断を下すかは、地方の金融機関だけでなく、金融庁も重大な関心を持って見守っています。