神山繁さん、83歳で死去…「ザ・ガードマン」「アウトレイジ」「踊る大捜査線」の名脇役
人気ドラマ「ザ・ガードマン」(1965~71年)などで知られる俳優・神山繁(こうやま・しげる)さんが、3日に肺炎のため、京都府内の自宅で亡くなっていたことが16日、分かった。87歳だった。所属事務所によると「葬式無用、戒名不要」という故人の遺志を尊重し、葬儀・告別式は行わない。近親者に見送られたという。
名脇役が、「隊長」の待つ天国に旅立った。神山さんは16年1月から間質性肺炎のため、1か月半程度入院。その後は退院し、自宅療養していた。元日に電話で話をした事務所社長は、その時の様子について「新年おめでとうございます、と。ツヤのあるいいお声でした。(最期は)今にも起きあがりそうな、とてもいいお顔でした」と明かした。
神山さんは広島県呉市に生まれた。父親が海軍軍人だった影響で海軍経理学校に進んだ。卒業後は進駐軍の通訳を務め、航空会社、ホテルに勤務した。芥川比呂志さん(享年61)らと知り合い、1952年に文学座入り。演出助手の後、俳優に転じた。63年の現代演劇協会設立に参加し、付属劇団「雲」で活躍した。75年に演劇集団「円」の旗揚げに加わった。
代表作「ザ・ガードマン」では榊隊員を演じた。高倉隊長役の宇津井健さん(享年82)らと犯罪に敢然と立ち向かう姿を描いた同作。「ガードマン」の言葉も、この作品で定着した。
映画では、山本薩夫監督「華麗なる一族」、市川崑監督「四十七人の刺客」などで重厚な演技が評価された。89年の「ブラック・レイン」(リドリー・スコット監督)には、堪能な英語力が買われて警察幹部役を射止めた。
晩年まで精力的に活動を続け、映画「踊る大捜査線」シリーズ、北野武監督「アウトレイジ ビヨンド」に出演。NHK連続テレビ小説「マッサン」(14年)が遺作になった。体調の問題でかなわなかったが、北野監督のシリーズ完結作「アウトレイジ 最終章」(今年公開)への出演をあきらめていなかったという。
私生活では、1990年代初めに京都に移住した。美術評論家・青山二郎さん、作家・小林秀雄さん、エッセイスト・白洲正子さんらとの交流で培った骨董(こっとう)の世界、美術の世界を楽しんだ。
◆神山 繁(こうやま・しげる)本名同じ。1929年1月16日、広島・呉市生まれ。87年、31年間連れ添った「円」の女優・文野朋子さんと死別。92年一般女性と再婚。2000年、映画「ホーム・スイートホーム」主演。07年Eテレ「英語でしゃべらナイト」に最高齢で出演した。代表作に映画「日本のいちばん長い日」「八甲田山」、NHK大河「天地人」。サントリー・ウイスキーのCMは10年以上続いた。
◆ザ・ガードマン TBS系列で1965年4月から71年12月までの約7年間、350話が放送された。最高視聴率40・5%。時代は高度成長期、社会の秩序を維持するため、高倉隊長(宇津井)ら7人の隊員が大都会に渦巻く犯罪に立ち向かう。日本初の警備会社「日本警備保障」(現セコム)がモデル。