谷川将棋連盟会長辞任「三浦九段に誠意」後任にイメージアップへ羽生3冠就任待望論も

2017年1月19日5時50分  スポーツ報知
  • やつれた表情で辞任を表明する将棋連盟の谷川会長
  • 記者会見を終え、一礼する谷川浩司会長(左手前)
  • 18日付本紙最終版社会面

 日本将棋連盟は18日、スポーツ報知の既報通り、谷川浩司会長(54)の辞任を発表した。三浦弘行九段(42)の不正疑惑をめぐる一連の騒動の引責と体調不良が理由。会見した谷川会長は「ファンや三浦九段に誠意をお伝えするには会長が辞任するのがいちばんという結論に至った」と胸中を明かし、後任については「実績や知名度のある人がふさわしい」との見方を示した。棋士会会長の佐藤康光九段(47)の名前が挙がっている。渉外担当の島朗(しま・あきら)常務理事(53)も辞任の意向を示している。

 会見場に姿を見せた谷川会長の顔は、疲れ果てていた。「会長を辞任させていただくことになりました。ファンの皆様、三浦弘行九段に誠意をお伝えするには私が辞任するのがいちばんという結論に至りました」。淡々とした口調で、一連の不正疑惑騒動の引責辞任であることを明かした。

 もうひとつの決断の理由として挙げたのは、心身の不調。「胃がキリキリ痛んだり、寝付けなかったりということが(騒動が勃発した昨年)10月当初からありました。このような状況の中で責任ある立場を続けるのは将棋連盟にも迷惑がかかると考えました」。この日の会見も体調面を考慮して15分間に限定された。

 連盟は19日に理事会を開き、谷川会長の辞任を正式に了承。今後の在り方を議論し、2月には臨時の棋士総会を開催して後任を決める方針だ。

 後任会長の最右翼として、棋士間では佐藤九段を担ぐ動きがある。竜王1期、名人2期を含むタイトル通算13期、永世棋聖資格保持者という抜群の実績だけでなく、朗らかな人柄で若手、ベテランを問わず人望が厚い。また、2011年から棋士会会長を務め、対外的な実務も経験している。

 過去の連盟会長職は故・大山康晴十五世名人、故・二上達也九段、中原誠十六世名人(69)、故・米長邦雄永世棋聖ら大棋士が務めてきた。谷川会長も会見で「将棋連盟の代表でありますので、実績や知名度のある方がふさわしいと考えています」と述べたが、佐藤九段はまさに適任といえる。

 一方で、今回の騒動を受け、現役棋士で理事会を運営することを疑問視する声も高まっている。佐藤九段は現在も順位戦A級に在籍するなどトップレベルで戦っているため、負担増は必至だ。また、マイナスイメージの払拭を対外的にアピールのためにも、最も知名度の高い羽生善治3冠(46)の就任を待望する声も一部にはあるが、年間を通して多忙を極めており、実現性は低そうだ。

 ◆不正疑惑騒動の経過

 2016年9月8日 三浦弘行九段が竜王戦で渡辺明竜王への挑戦権獲得

 10月10日 三浦九段のソフト不正使用疑惑が指摘され、日本将棋連盟幹部と渡辺竜王らが会合

 11日 連盟が三浦九段を事情聴取

 12日 連盟が三浦九段の16年末までの公式戦出場停止処分を発表

 18日 三浦九段が不正使用を否定する声明

 27日 調査委員会設置

 12月26日 調査委が「不正を認める証拠はない」と報告

 27日 谷川浩司連盟会長が陳謝し幹部の減給処分を発表。三浦九段は「元の状態に戻して」と会見

 2017年1月17日 渡辺竜王が陳謝

 18日 谷川会長が辞任表明

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