FF15の新しいチャレンジをどう見るか
藤田 国民的な大ヒットを続けてきた『ファイナルファンタジー』シリーズの最新作『ファイナルファンタジーXV』が発売されました。予告や体験版の時点で、「ホストが車でうろうろするFFwww」とか「新宿が出てくるとか世界観おかしいじゃんwww」とかネタにされてたんですが、触った印象としては、そんなに悪くないです。
飯田 あらすじ的には、2つの国の争いに巻き込まれた劣勢の国側の王子が、父である国王を殺され、自分を含む野郎4人で旅しながら敵国に復讐を果たすファンタジーですね。
FF13が「一本道ゲー」と言われていたけれども(14はMMOPRG)、今回は世界的な潮流であるオープンワールドゲームにチャレンジしたと。ただ、後半はFFらしく(?)一本道になる。
発売当初はバグがいっぱいあることがネタにされてネットで盛り上がっていた。すでにたくさん指摘のあるとおり、オープンワールドのゲームはGTAとかもそうだけどバグは避けがたく存在していてよくネタになっている。ただFF15に関しては、メインキャラクターたちがスカしたイケメンであるぶん、ギャップでよけいに笑いが起きたのかなと。
あ、先に言っておくと、僕、FFは7よりあとはあんまり思い入れがないので、今回も期待値低めから入っています。そのぶん点が甘くなっていると思います。
藤田 FF15は元々、2009年に発売されたFF13と世界観を共有している「ファブラ ノヴァ クリスタリス」の一作で、『ファイナルファンタジー ヴェルサスXIII』というタイトルだったのが、15というナンバリングになったという経緯があります。
ストーリーが変わったり色々あったせいか、トレイラーにあったシーンがなかったりして、不満の声も上がっています。ゲームって、プレイヤーが先を期待して能動的に進める性質のメディアなので、トレイラーにあると思っていたシーンが最後まで行ってなかったら不満が出やすくなると思います……
飯田 映画で言えば予告編のカットが本篇に出てこないようなものだからね……。
バグをあえて仕込んだとまでは思わないけれども、ネタ動画がいっぱい上がっているのは、SNS全盛時代にはプラスだったのでは? あれで興味持った人も多いと思うし。もちろん「FFはスタイリッシュじゃないとイヤ」っていう層からの反発もわかるけれども(しかし思えばFF13は専門用語が多すぎてネタにされ、14はローンチ直後の出来がひどくてネタにされていた)。
藤田 FF15の料理に関しては、成功だと思います。SNSに作中の写真をアップしやすいようにデザインされているのが功を奏していると思います。
飯田 イベントにFFのオリジネイターである坂口博信氏を呼んで「FFはチャレンジャーだった、そこに原点回帰する」とプレゼンするとか「Falloutみたいなワールドワイドでめっちゃ売れるAAAタイトルをめざす」とか、その意気はとてもいいと思ったし、今言われている欠点だって、アプデによってFF14のときみたいにあとから巻き返す可能性もある(FF14のときみたいな完全リニューアルはもちろん不可能であるにせよ)。
ただまあ、「全世界で500万本出荷」ってプレスリリースが出ていたけどGTA5なんて売上6500万本だしFallout4は初日で1200万本だから比べてしまうとなんなんですけど、でも、そもそも挑もうとしないメーカーがほとんどなので、そこは買いたい。もちろん、現実的に「もうちょっとどうにかできたのでは」というところは無数にあるわけですが……。
藤田 日本のゲームが置かれている商業的な苦境については色々と思うところがありますが……。
本作の特異性は、FFシリーズをやってきた身からすると、オープンワールドにチャレンジしたこと、移動が車だというのが、驚くべき変化ですね。ファンタジーなんだけれど、世界観は実際のところ、アメリカ。アメリカを車で旅行する感じに近い。主人公たちが出発する王都は、日本っぽくて、実にヘンな世界観で、そこが面白い。西洋風の意匠と、アメリカのハイウェイ文化が出たと思えば、急にSFっぽくなり、剣と魔法のファンタジーになり、フィールドは震災後のスーパー堤防とか、チェルノブイリ周辺みたいにでかい人工物がむき出しになっていたりして、奇妙。
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