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 目の不自由な男性(63)がホームから転落し、列車にはねられて亡くなったJR蕨(わらび)駅(埼玉県蕨市)で18日、日本盲人会連合の会員が事故現場を視察し、「周囲の声かけが必要」と訴えた。悲劇は昨年も相次ぎ、国や鉄道会社も視覚障害者への「声かけ」の強化を始めているが、駅員には困惑もあり、安全対策の実現は道半ばだ。

 蕨駅でこの日、同会連合の橋井正喜・常務理事(65)ら2人が、事故が起きたホームの階段付近を白杖(はくじょう)をつきながら歩き、ホーム幅や、列車の音の聞こえ方を確認した。橋井理事は「ホームは広くて歩きやすいが、使い慣れた駅でも考え事をした瞬間、危険な状況になることがある。駅員や利用客の声かけや見守りが心強い」と話し、ホームドアの設置も求めた。

 最も有効な策のホームドアの整備は、進んでいないのが実情だ。設置済みなのは全国約9500の駅のうち7%ほどの665駅(2016年3月末時点)。導入にハードルが多く、急速な普及は見込めない。

 1駅数億~十数億円とされるコストの問題に加え、工事は列車の運行がない夜のわずかな時間しかできず、工期はどうしても長くなる。そもそもホームが狭い駅では設置スペースが確保できない。さらに、車両ドアの位置が異なる列車が乗り入れる駅では、開閉位置が固定された従来型のホームドアは使えない。課題を解決する新型ホームドアの開発も進むが、実験段階のものがほとんどだ。

 こうした実情をふまえ、国土交…

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