昨夏の参院選に続く野党共闘をさらに発展させ、「野党連合政権」の樹立をめざす――。

 共産党はきのう閉会した大会で、そんな決議を採択した。

 初日には安全保障関連法への反対で連携した民進、自由、社民3党の幹部らが出席し、野党共闘をアピールした。他党の党首を招いたのは1922年の結党以降初めてという。

 衆参ともに圧倒的な議席を握る安倍政権は、数のおごりを感じさせる強引な国会運営が目立つ。国会に緊張感を取り戻すためにも野党の役割は重要だ。

 1人区で一定の成果をあげた参院選での選挙協力に続き、次の衆院選でも野党共闘をいっそう進める必要がある。

 だが選挙協力といっても、大事なのはその中身だ。衆院選は有権者に政権選択を問う選挙である。共産党が野党による政権の受け皿づくりを掲げるならなおさら、参院選以上に共通政策の明確さが問われる。

 例えば自衛隊の位置づけだ。共産党は2004年に改定した現在の綱領で自衛隊の存続を容認したが、将来は解消をめざす方針は変えなかった。自衛隊の存在が広く国民に受け入れられるなか、こうした主張が説得力をもつのかどうか。

 変化への模索は見える。

 昨年、志位和夫委員長らが天皇陛下が出席する国会開会式に党として初めて参加。きのう採択された大会決議では「共闘に、日米安保条約や自衛隊についての独自の立場を持ち込まない」ことをうたった。

 政治腐敗などをあばく調査活動。安全保障や貧困・格差の問題などでの厳しい追及……。共産党は国会論戦で独自の存在感をもってきた。

 一方で、その閉鎖性もあって連携する政党を長く見いだせないできた。より開かれた政党に変身する努力はもっと必要なのではないか。

 そのうえで、民進党など野党各党との政策の具体的なすり合わせを急ぐべきだ。

 例えば、国民のくらしに密接にかかわる原発政策では、再稼働に反対の共産党と、「2030年代原発ゼロ」を公約にしつつも再稼働は条件付きで容認する民進党とは開きがある。

 安保法への異議申し立てを通じて生まれた、野党共闘と市民との連携をさらに広げるためにも、原発をはじめ主要な政策について、説得力ある選択肢を示すことが欠かせない。

 問われているのは共産党だけではない。共闘の実を大きく結ぶために、民進党など他の野党もまた歩み寄らねばならない。