【ワシントン=河浪武史】トランプ次期米大統領が商務長官に指名した投資家のウィルバー・ロス氏は18日、米上院商業科学運輸委員会の公聴会で「中国は世界で最も保護主義的な国だ」と厳しく批判し、貿易不均衡の是正を急ぐ考えを強調した。北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しは「次期政権の最優先案件だ」と指摘。メキシコなどと再交渉に入る考えを示唆した。
ロス氏は選挙戦中にトランプ氏の経済政策の立案に携わるなど、側近の一人として知られる。トランプ氏とともに米国の貿易赤字の削減を公約に掲げており、とりわけ中国との貿易不均衡を批判してきた。公聴会では「中国は関税が高く(外資制限などの)非関税障壁も多い」と指摘し、貿易ルールの見直しを求めていく意向を表明した。
ロス氏はかつて日本に環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を呼びかけるなど、自由貿易論者とみなされていた。公聴会では「私は『反・貿易論者』ではなく『親・貿易論者』だ」と主張する一方で「悪意のある貿易行為は容認すべきでない」と述べ、外国政府の輸出補助金などの是正を政策課題に挙げた。不公正な貿易を実施している国には対抗措置をとる考えも示した。