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Togetterのまとめですが、以下の記事を見ました。
氷結 × TRIGGERアニメCMが根拠のない理由で非公開にされた件について - Togetterまとめ
氷結のCMが「根拠の無い理由でCMを公開中止にされた」ということになっているのですが、実際のところなぜ公開中止になったのかという経緯などが全く無視され、個人の見解で意見されているようでした。
そしてその賛同者を募っているようです。
キャンペーン · キリンビール: 氷結 × TRIGGERアニメCMを再び公開させましょう!! · Change.org
この件についてどの関係各位にも確認を取らず、見切り発車のようで色々と動いているのはちょっと頂けないし、折角なのでCMを公開中止にした経緯でも聞いてみようかと思ったので、KIRINホールディングスさんに質問をしたので、その質問と回答についての話です。
また、非公開依頼を出したASKの依頼書などを見返した上での私の感じたこともあわせて書いていきます。
KIRINさんの見解
KIRINさんへの質問とその回答
昨日KIRINさんへ以下のような質問をしました。
- KIRINはどの程度この企画に参画されていたのか
- 本件はスポンサーであるKIRINがCM公開の了承を行ったのか
- ASKの申し入れを受け入れた理由
- 今後の対応方針 (このまま立ち消えとなるのか)
それについてKIRINさんからは以下の通りご回答をいただきました。
要約するとこんな感じです。
- KIRINは酒類メーカとして製作準備段階から企画に参画し、検討をしていた
- そのため、スポンサーであるKIRINがCM公開はスポンサーとして承認したと考えてよい
- ASKからは「未成年飲酒助長の懸念がある」と指摘を受け、更なる検討の上動画配信を中止した
- 今後の再配信の予定はないが、今後は適正飲酒に配慮した魅力的なコンテンツを企画していきたい
動画は今後も公開されなさそうです
スポンサーであるKIRINからの回答の通り、再配信を行う予定はないとのことです。もしかしたら先に記載したChange.orgの嘆願により表現方法を変えて公開し直すということは可能性としてはあり得るかと思いますが、一度取り消したものに対して改めて公開し直すというのはなかなか考えづらいです。
このプロジェクトに対してスポンサーとして慎重に企画の検討を行っていたこともそうですし、利益などよりも企業としてコンプライアンスを遵守したような形のように見えました。KIRINという企業として正しい処置をしたのではないかと考えられます。
こういう「一時的に大きくなってしまった声」に対し、企業として真摯な対応をしたのではないでしょうか。
アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)からの要望書とメディア規制
そもそもASKからの要望書にはKIRINへ向けて出されたわけではなく、国税庁酒税課に送られたものです。私のところに頂いた回答には「ASKより電話を受け」とあるので、起因となったFACEBOOKのつぶやきには一部間違いがありそうです。
で、ASKからの要望書に記載されている点としては、「この動画の公開をやめろ」ということではなく、お酒に関するウェブCMはテレビのCMの基準に合わせてほしいというものであり、アニメの表現を規制するというようには感じにくいです。
この CM が掲載された YouTube には、「未成年飲酒禁止されてるのに未成年が好きそうな内容でCM作るのはどうかと思うんだけど・・・」という視聴者のコメントがついていました
(中略)
「ウェブCM は年齢認証ができるので、不特定多数 を対象としたテレビ CMとは異 なる。この内 容 でテレビCMをやるつもりはない 」 「登登場人物が25歳以上という自主基準はテレビCMに限定されている。ウェブCMには適用しないというのが業界の判断。そのため20歳以上の設定にした」との見解でした。
(中略)
同基準には、「本基準の不断の見直しを行なうなど社会的な要請への更なる対応を期する必要がある」と記されています。ウェブ CM は、かねてより検討課題になっていたはずです。今回の経験をもとに、業界全体で、ウェブ CM の基準強化を図るよう強く望みます。
この自主規制には以下のように25歳未満の者を広告のモデルに使用しないという自主規制があるのですが、これはあくまでテレビの自主規制によるもので、ウェブCMには適用されてはいないようです。
また広告の配信についても提供番組や時間帯による規制は掛けているのですが、これもテレビ、ラジオのみでウェブCMには適用外のようです。
テレビ及びラジオのスポンサーは、視聴者の70%以上が成人であるという企画のもとに制作されたことが確認できた提供番組において、酒類の広告を行うよう配慮する。
(中略)
テレビ広告において、25歳未満の者を広告のモデルに使用しない。また、25歳以上であっても、25歳未満に見えるような表現は行わない。
ここ昨今はインターネットで情報を収集する若い人たちが増えていることもあり、ウェブ広告もテレビやラジオなどと同様に規制ルールを設けてほしいというのがASKの意見のようです。
規制の方法をどのように敷くのかは各方面へ議論することは必要かと思いますが、規制することについては否定しません。ルールを敷いた上でそれに基づいた広告が配信されるのであれば問題ないかと思っています。
「アニメだから」という理由
この点について「アニメだから」という指摘はASKからはなく、ただ「未成年飲酒を助長する恐れがあるから」と言っているようです。
私はASKがアニメの表現を規制しているとは言い難く、繰り返しにはなりますが「未成年飲酒」の観点を懸念しての非公開依頼だったように言えます。
(アニメ映像が未成年飲酒を増長させることに関するアニメと未成年飲酒の相関性は、現時点でASKには確認できていません。確認出来たら追記します)
ASKよ、アニメーターの苦労も知らないでクレーマーになりやがって...今に見てろよ
— ot_inc (萌える日本語化屋) (@ot_inc) 2017年1月16日
そのため、このような短絡的な言い分をした上で、逆に正当な理由のない公開キャンペーンを開くことに頭を痛くしています。「またアニメアイコンか」と思われても仕方ない事案だよなぁとも思っており、ひとりのアニメ好きとして大変残念に感じています。
総括として
このCMが見れなくなったことはアニメ好きとしては少し悲しいと感じていますが、それが企業として取らざる処置をしなければならない、非営利団体として全うな指摘をしなければならないという点については間違ったことはしていないと思っています。
とは言え、ウェブの影響度は大きく、今後はウェブ広告を企業は生かしていきたいはずです。そのためにきっちりとした制度づくりをして、今回のようなことが起きないことを祈りたいというのが私の所感です。
参考:「氷結のCMがクレーマーのせいで非公開になった!!!!!」と騒いでるアニメオタクって馬鹿なの? - 今日も得る物なしZ
きょうもえさん、参考にさせていただきました。ありがとうございます。
有志による質問状についてもツッコミどころが満載だったのですが、本筋とは離れすぎますので今回は割愛します。それでは今回はこのあたりで。