通勤ラッシュの満員電車内で先月、女性が髪の毛をはさみで切られる事件があり、傷害容疑で愛知県内の大学院生の男(23)が逮捕された。男は「他にもやった」とほのめかし、「ネットオークションで売るためだった」と動機を供述。実際にネットをのぞいてみると、若い女性のものとみられる髪の毛が取引され、数万円で落札されたケースもあった。「かつてのブルセラじゃないが、今はネットで何でも売り買いされる時代」と捜査員。マニアが群がる髪の毛オークションの実態とは−。(三宅有)
事件は昨年12月5日午前7時40分ごろ、名鉄名古屋本線の国府宮駅(愛知県稲沢市)と名古屋駅(名古屋市中村区)間を走る特急電車内で起きた。
通勤、通学の乗客らで満員の車内。男は黒髪の女性派遣社員(40)を見つけると背後に回り、髪を片手でつかみ、持っていた文房具のはさみで長さ35センチほどを切った。
女性は髪を切られたことに気づかなかったが、車内で警戒中の県警鉄道警察隊員が犯行を確認、男は傷害容疑で現行犯逮捕された。その後同罪で略式起訴され、名古屋簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた。
県内では5月ごろから電車内で女性の髪やスカートが切られる被害が多発。鉄警隊がパトロールを強化していた。
男は「他にもやった。ネットオークションで売るためだった」と供述。県警が余罪についても調べたが、被害者が特定できないことなどから他は立件を見送った。被害者の多くはスマートフォンの画面を見ていたり、イヤホンで音楽などを聴いたりしていて、髪の毛を切られたことをその場では気づかなかったとみられる。
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