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【野口裕之の軍事情勢】中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? 

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【野口裕之の軍事情勢】
中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? 

 敵・味方に武器を売るフランスが日本に接近中

 かくしてフランスの対中警戒感は徐々に高まっている。フランスは南シナ海でおびただしい数の「中国漁民=海上武装民兵」が水産資源を大量に密漁している実態も学習しているだろう。南シナ海での沿岸国の取り締まりが厳しくなれば、「漁船艦隊」は南太平洋を目指して、今以上に殺到する。

 既にフィジーに寄港する外国船の7割が「中国漁船」とされる。一部は米軍や豪州軍の電波・通信を傍受しているもようだ。南太平洋の島嶼国家は南シナ海の沿岸国以上に海上兵力・海上警察力が弱い。米国や豪州、ニュージーランドだけでは密漁への対抗措置は万全ではなく、フランスの南太平洋部隊の海空兵力が絶対に必要で、災害出動を含め実動局面は激増している。

 加えて、フランスは、中国と軍事協定を結んだフィジーや、対中借款地獄に陥っているトンガの海洋治安維持活動への支援や教育に乗り出した。

 フランスは、関心ゼロだった東シナ海での中国の野心、すなわち尖閣諸島(沖縄県石垣市)の強奪や水産資源乱獲に少し関心を持ち始めた。南太平洋でも起こる恐れが出てきたためだ。

 現に、2014年春の日仏外相戦略対話の中で「日本と同じ太平洋の海洋国家」との表現を用い、「法の支配」の原則を堅持して地域の安定に取り組む利益と責任を共有すると表明。自らが主催する同年夏の《南十字星演習》に自衛隊を招待し、人道支援・災害救助を演練した。翌年には、早くもフランス海軍が九州西方沖に遠征し、自衛隊や米軍と水陸両用作戦に取り組んだ。

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