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【野口裕之の軍事情勢】中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? 

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【野口裕之の軍事情勢】
中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? 

 南太平洋の島嶼国家は、中国と台湾が激烈な外交関係樹立を競う「戦場」だ。現在は中国8カ国と台湾6カ国と、中国が優位に立つ。当面の「有効兵器」は札束。政府機関ビルや港湾の建設に無償供与よりも借款の比率を高め、借金漬けにされている国も多い。

 フィジー同様、FANCとFAPFの中間に位置するトンガも、中国への借款返済額が国家収益の2割近くに達し、経済破綻の瀬戸際だ。トンガなど各国で、反中国人暴動が勃発し、豪州軍やニュージーランド軍が鎮圧に派兵している。

 「無料医療攻撃」にさらされた仏領ポリネシアにも交通や観光関係のインフラを中心に中国資本が流入する。

 資本進出だけではない。ニューカレドニア(仏領)とバヌアツは両国間に眠るレアメタルなど海底資源をめぐり「大陸棚争い」をしている。フィリピンは、南シナ海のほぼ全域の領有を主張する中国に国際裁判で完勝したが、仲裁裁判所(オランダ)の判断以前に中国を支援した太平洋地域で最初の国家がバヌアツだった。レアメタルを狙う中国の影を、バヌアツの背後に感じる。

 半面、ニューカレドニアは伝統的にフランスからの独立機運を高めてきた。2019年までに完全独立の是非を問う住民投票も控える。小欄は、中国がニューカレドニアの独立後、フランスの外交・軍事にかかわる影響力を排除し、海底と観光という大きな資源を狙っていると観測している。

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