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二兎を追う者マツタケ発見

そんな結末があってもいい

ネガティブなあなた。『壇蜜日記』はもう読みましたか?

○○に学ぶ! エッセイ 健康

壇蜜日記』をご存じですか。タレントの壇蜜が何気ない日常を綴ったエッセイです。これかなり面白いです。皮肉たっぷりで、とても意味深で、ひとつひとつの日記は短いのですが、文章の向こう側をアレコレ推測してしまいます。

 

壇蜜日記2 (文春文庫)

壇蜜日記2 (文春文庫)

 

 

怪しいパーティー?

淫靡なオトナの女性、あの壇蜜の日常ということで、さぞエキゾチックな体験が綴られているのだろうとスケベ心丸出しで期待しているそこのおじさん。残念ながらそんなことはありません。

 

極々フツーの日常です(ぼくが言うのもなんですが)。スーパーで弁当を買い、コンビニでマンガを買い、家に帰って猫と遊び、熱帯魚の世話をする。そんな平凡な日々が続いている模様です。

 

怪しいパーティーやムフフな昼下がりの出来事が書かれているなんて期待しないでください。カラーページでセクシーショット連発だなんて期待しないでください。そちらをお望みでしたら彼女の写真集を買ってください。

 

壇蜜写真集「あなたに祈りを」

壇蜜写真集「あなたに祈りを」

 

 

あなたにおすすめ!

彼女の日記は基本的に暗いトーンで書かれています。「あはっ」とか「てへっ」とは真逆の世界です。要するに、ネガティブなんですよ。

 

世の中には、「元テニスプレイヤーの暑苦しい男」に代表されるような、ポジティブ思考バンザイみたいな書籍が溢れていますね。前向きに生きよう、常に笑顔で感謝を忘れずに、って。

 

こうした風潮に対して「やかましいわポジティブバカどもめ!」と思わず心で毒突いてしまう腹黒なあなた。そんなあなたは間違いなく『壇蜜日記』を好きになることでしょう。気に入って、お風呂場でも読みたくなって、手を滑らせて本を湯船に転落させることでしょう。ぼくのように。

 

松岡修造の人生を強く生きる83の言葉

松岡修造の人生を強く生きる83の言葉

 

 

壇蜜に学ぶしたたかさ

 本書を手に取っていただけばすぐに分かりますが、とにかく彼女はネガティブです。世の中から散々な悪口を言われていると自覚しているらしく、そのことに何度も言及しています。

 

それでも彼女は屈しません。なんと言われようと、決して負けません。なんというか、図太いんですよね。読んでいて、そんな壇蜜の姿勢に勇気づけられますよ。そうした意味で、落ち込んだときこそ読みたくなる本かもしれません。

 

なんでもかんでもポジティブに捉えればいいってもんじゃありません。だってそんな生き方は疲れるでしょう。「財布を落とした。」を「どこかの誰かが幸せになった」なんて到底思えません。チクショーバカヤロー!ですよ。

 

泣くなら、ひとり 壇蜜日記3 (文春文庫 た 92-3)

泣くなら、ひとり 壇蜜日記3 (文春文庫 た 92-3)

 

 

下には下がいる

『壇蜜日記』を読んでいて元気がもらえる一番の理由がこれかもしれません。「下には下がいる」と実感できること。

 

もちろん、社会的地位、名声、収入においてぼくは圧倒的に壇蜜、いや壇蜜様の下でございます。しかし、それらを手にしている彼女ですら幸せではないのだと文面から感じ取ることで、ぼくらは安心できるのです。

 

少なくとも一般人のぼくたちは、見ず知らずの人からいきなり悪口を言われるようなことはありません。ちょっと奮発して高級なお店に足を運ぶ際、「壇蜜(あなたの名前)のクセに」なんて思われているんじゃないかという不安とも無縁です。

 

このように自分よりも不幸な存在を認知することで、ぼくらは少しだけ前向きになれるのです。アホみたいに明るさを追い求めるのではなく、自分の現状に満足すること。これが大切ではないでしょうか。

 

「誰かを下に見て優越感をえるだなんて悪趣味だ!」と思う方もいるでしょう。しかし、売れないどん底時代に老人ホームに行っては自己肯定感を高めていた某毒舌芸人が、その効果を実証しています。本当に追い込まれてしまったのなら、手段を選んでいる場合ではありませんよ。

 

お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則50」 (双葉文庫)

お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則50」 (双葉文庫)

 

 

壇蜜日記

『壇蜜日記』は2017年1月現在で3まで出ています。先日『壇蜜日記3』を読みましたが、これまでと違って文章でお金を稼いでいるという意識が随所に感じられました。グラビアアイドル引退後の活路を見出したというところでしょうか。

 

巻末には自身初となる小説も掲載されていました。好き嫌いはあるでしょうが、個人的には好きになれませんでした(おい!ここまでずっと褒めておいて、おい!)。

 

彼女はやはり、エッセイが一番輝いています。ほかの著書も何冊か読んでみましたが、まずは『壇蜜日記』から彼女の文章に触れてみることをおすすめします。ウィットに富んでいて面白いですから。

 

※男性諸君、壇蜜著『エロスのお作法』はおすすめしない!なぜなら男が読むものではないから!そう序盤で気づいたぼくであった。いや、タイトルで気づくべきぼくであった!

 

壇蜜日記 (文春文庫 た 92-1)

壇蜜日記 (文春文庫 た 92-1)

 

 

エロスのお作法 (だいわ文庫)

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