日本将棋連盟の谷川浩司会長(54)が会長職を辞任する意向を固めたことが18日、分かった。同日午後、記者会見する。棋士が対局中に将棋ソフトを不正使用した疑惑への対応で混乱を招いたことの責任を取るものとみられる。
同疑惑では、連盟が昨年10月、ソフトの不正使用が疑われた三浦弘行九段(42)を出場停止処分にし、三浦九段は挑戦者に決まっていた竜王戦に出場できなかった。連盟の委嘱で調査した第三者調査委員会は「不正行為をしたと認める証拠はない」とした上で、出場停止処分を下したことについては「やむを得なかった」とする報告書を12月に提出していた。直後の会見では、谷川会長は自身の進退について「職を投げ出すわけにはいかず、粛々と全うしていく」と述べていた。
谷川会長は17日に開かれた竜王就位式のあいさつで今回の騒動について改めて謝罪の言葉を述べ、将棋界の正常化に努めたいなどと語っていたが、挑戦者交代という異例の事態を招いた竜王戦が就位式開催で一区切りつき、自身の体調もすぐれないことから辞意を固めたものとみられる。今年に入って、他の理事に辞意を伝えていた。
会長の任期は6月までで、任期半ばでの辞任となる。今後の体制は連盟常務会などで話し合うという。
谷川会長は神戸市出身。1976年、14歳でプロ棋士に。83年、史上最年少の21歳で名人となり、97年には十七世名人の資格を獲得した。順位戦A級(名人在位含む)には通算32期在籍。「光速の寄せ」と称された鋭い終盤で人気、実力とも兼ね備えたトップ棋士として活躍している。
2011年から連盟専務理事となり役員に。12年、米長邦雄前会長の死去を受けて会長となり、ICT(情報通信技術)環境が激変する中で新棋戦の叡王戦を始めるなど、連盟のかじ取りを担っていた。【山村英樹、最上聡】