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【社会】

豊洲市場の地下水30カ所で再調査 都、高濃度地点中心に

 築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)で、地下水から環境基準の最大七十九倍のベンゼンなどが検出された問題を受け、都は十六日、基準を大きく上回った観測地点を中心に三十カ所程度を選び、近く再調査を実施する方針を明らかにした。

 都が二〇一四年から二年計画で地下水を調べた最終九回目の結果で、定点観測している二百一カ所のうち七十二カ所で基準を超えるベンゼンやシアンなどを検出。過去の調査に比べて急激に濃度が上がったことから、都は「暫定値」とみなして結果を検証する。

 再調査には、土壌汚染対策を検討する専門家会議の委員が採水に立ち会うなどして関与する。調査結果の妥当性を複数でチェックするため、専門家会議の指示で豊洲市場の地下空間の調査を行っている会社と都環境科学研究所、新たに都が発注する会社の三者で分析する。再調査結果は三月中に公表し、その後も調査を継続するという。

 都は調査を実施した会社名も公表。九回目は一般競争入札で、採水、分析とも湘南分析センター(横浜市金沢区)が受注した。一〜三回は随意契約で日水コン(新宿区)が採水、一般競争入札で日立プラントサービス(豊島区)が分析を担当。四〜八回は三つの街区ごとに整備工事を行う鹿島、清水、大成の各共同企業体(JV)が受注した。

 小池百合子知事は十六日、一七年度予算案では豊洲市場への移転を想定せず、築地市場で一年間運営することを前提にすると説明。ただ、小池氏は「予算の技術的な話であって、そのように運ぶ(ことを決めた)わけではない」とも述べ、仮に移転した場合は補正予算で対応する。

◆移転中止検討を都知事に要請

 豊洲市場の地下水から環境基準を超える有害物質が検出された問題で、東京都議会の共産党、生活者ネットワークは十六日、食の安全・安心が確保されていないとして、築地市場から豊洲への移転中止を検討するよう、小池百合子知事宛てに申し入れた。

 共産は小池氏と面会し、過去の地下水調査の検証とともに、築地市場の補修も急ぐよう主張した。小池氏は「要望には共有する部分もある。直面する課題についてはしっかり考えていく」と述べたという。

 都議会最大会派の自民党も同日、小池氏宛てに申し入れ書を提出。再調査を通じて原因を特定、公表し、今後の道筋を早期に明らかにするよう求めた。

 

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