フリーランスが会社員になったみたいな?
水金地火木土天海…ああ、冥王星はもう違うんだっけ…と、太陽系から冥王星が外れて以来、心に穴が空いてしまった方はそれに代わる第9惑星の発見を待望されてるんじゃないでしょうか。「そんなもの存在しない!」という意見がある一方で、その質量は地球の10倍、太陽からの距離は地球の1,000倍、なんて説も出されています。ちなみに海王星は太陽から地球の30倍、冥王星でも最大49倍の距離なので、もしあるとしてもものすごく遠そうです。
さらに今回新たな研究で、第9惑星の意外な出自に関する仮説が登場しました。Space.comによれば、ニューメキシコ州立大学の学生James Vesperさんが、第9惑星が「自由浮遊惑星」だった可能性が非常に高いとする説を米国天文学会で発表しました。
自由浮遊惑星とは、特定の恒星に縛られずに銀河をさまよう星のことです。この説が正しければ、第9惑星はそれまで集団に属さずにフリーで活動してたのに、太陽が「こっち来いや!」って引っ張ってきた後付けの太陽系メンバーってことになります。たしかにフリーだと、確定申告とか面倒ですしね…。
Vesperさんと指導教官のPaul Mason教授は、太陽とさまざまな自由浮遊惑星が接近した場合どんな挙動になるか、シミュレーションを156回繰り返した結果、この仮説に至りました。Vesperさんによれば、シミュレーションのうち60%において、自由浮遊惑星はいったん太陽系に入り込んで、その後またフリーに戻りました。
でも40%のケースでは、自由浮遊惑星が太陽系メンバーのままになったんです。そしてときには、他の惑星を弾き出してしまうことすらあったそうで、惑星同士の付き合いもいろいろあるんだなと苦労がしのばれます。
自由浮遊惑星が発見されたのは比較的最近ですが、2011年にはそのような星が太陽系のように主星にくっついた星よりも多いらしいことがわかってきました。とするともしかして、第9惑星のポジションにはいろんな星が出たり入ったりしてる可能性すらあるんでしょうか?
Vesperさんらの研究はまだ仮説なので、それが正しいかどうかはわかりませんし、これによって第9惑星の存在が証明されたわけでもありません。また、第9惑星が存在するとしても、それが自由浮遊惑星だったとか、他の主星に属していたとかの可能性は2%に満たないとする研究もあります。
それでもカリフォルニア工科大学のKonstantin Batygin准教授は、Vesperさんの説が正しい可能性は十分あると言っています。「たしかに第9惑星が捉われた天体であるという説はもっともらしいです」とBatyginさんは言います。「正確な軌道がわからないので、自由浮遊惑星説を決定的に確認したり否定したりすることは難しいのですが、可能性があるのはたしかです」
さらに「第9惑星が実在することに関しては確信を持っています」とBatyginさん。「太陽系の中には、一見無関係のようでいて、第9惑星の存在によって解けるパズルが多すぎるんです。単なる偶然ではありえないくらいに」
image: R. Hurt/Caltech
source: Space.com(1, 2, 3)
Rae Paoletta - Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)