(英エコノミスト誌 2017年1月14日号)

米CIA長官、トランプ氏は「発言に気を付けろ」 対ロ認識も批判

米首都ワシントンで開かれたシンクタンクの討論会で発言するジョン・ブレナン中央情報局長官(2016年9月14日撮影、資料写真)。(c)AFP/ZACH GIBSON〔AFPBB News

ドナルド・トランプ氏は容赦ない批判によって、諜報機関に対する信頼を台無しにしている。

 ドナルド・トランプ氏はあまり記者会見を開かない。だが、1月11日のように、開くときには(昨年7月以来初の会見だった)どんな次期米国大統領の記者会見とも全く異なるものになる。

 トランプ氏は原稿を読まずに話し、メキシコと医薬品業界を脅し、おだてた(製薬会社の株価は急落した)。自分の商才を自慢してみせた(そしてある程度、自身の利益相反の度合いを減らした)。ロシアの諜報機関がトランプ氏の弱みを握っており、選挙中に同氏の部下らと協力したという衝撃的な報道には、冷笑を浴びせた(問題の報告書の存在を明らかにしたニュース専門局のリポーターに対しては怒鳴り倒した)。

 これらはただのハイライトにすぎない。会見は一度にあまりに多くの方向に話が飛んだため、見ていた人は、米国の安全と安心のためにトランプ氏が即座に封じるべきドラムの音に気づかなかった可能性がある。

 米国の諜報機関に対してトランプ氏が抱き続ける敵意がそれだ。

諜報機関を敵に回す

 関係はすでに不安定だった。選挙の前、米国の諜報機関は、トランプ氏の対抗馬のヒラリー・クリントン氏に打撃を与えた文書を、ロシアがハッキングし、盗み、リークしたと結論付けたことを世間に知らせた。大半の機関は(すべてではないが)、ロシアの意図はトランプ氏が勝つのを手助けすることだったと考えている。

 トランプ氏はこれに対し、2003年のイラク侵攻前に米国の諜報機関は大量破壊兵器について間違っていたとあざ笑った。

 つい先日はさらに見苦しい事態となった。諜報機関がトランプ氏に、多くの人の多大な努力にもかかわらず、内容の裏付けが取れていない報告書の要約を提出したことがリークされたのだ。