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英、EU単一市場から完全撤退 メイ首相が離脱方針表明

2017/1/17 23:19
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 【ロンドン=小滝麻理子】英国のメイ首相は17日、ロンドン市内で演説し、欧州連合(EU)からの離脱に関する基本方針を示した。移民制限など英国の権限回復を実現するため「EU単一市場に残ることはできない」と述べ、域内で人やモノ、サービスの自由な移動や取引を認める単一市場から完全に撤退すると表明した。3月にも始まるEU離脱交渉の行方は世界経済にも影響を与える。

 昨年6月の英国民投票で決まったEU離脱(Brexit、ブレグジット)に関し、メイ氏はこれまで「英国にとって最良の結果をめざす」と述べるにとどめ、具体的な方針を示してこなかった。世論を二分したEU離脱を巡り、英国内では決定後も単一市場に残留する道を探るべきだとの声が残っていたためだ。

 メイ氏は演説で「単一市場に残れば、EUの影響を受け続ける。それではEU離脱ではない」と語った。移民制限や国境管理などの権限回復を優先し、EU離脱を選んだ国民の不満に応える。

 その代わり、離脱後にEUと包括的な自由貿易協定(FTA)の締結を目指し、製造業や金融業などが単一市場に最大限アクセスできるよう交渉すると強調。EU域内の無関税の取引を続けるために新たな関税合意が必要になるとも語った。

 離脱後の混乱を避けるために、一定の移行期間を設けることも求めた。メイ氏は「秩序だったEU離脱は、英国だけでなくEUの利益だ」と述べ、理解を求めた。EUとの最終的な合意について上下両院で投票による承認を求めるとも述べた。

 さらに「EU離脱はよりグローバルな英国を築くチャンスだ」と強調。EU域外の国々と自由貿易交渉を進める意向を示した。EU司法裁判所の管轄権から独立するなど、離脱交渉に向けた12の優先事項を提示した。

 今後の焦点はEUとの交渉に移る。メイ氏は3月末までにEU側に離脱を正式に通知し、原則2年の交渉期間を経て、19年春までにEUから離脱する計画を描く。

 EU側は英国だけを「特別扱い」しない考えで、交渉は難航が予想されている。離脱交渉が長引けば、経済への不透明感が高まり、英国からの投資資金が流出しかねない。難民危機など課題が山積するEUの結束が一段と揺らぐ恐れもある。

 月内に出る英最高裁判決でEUとの交渉開始に議会の承認が必要との判断が出れば、メイ氏の強硬姿勢を巡り議会の議論が難航する恐れもある。

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