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BGM を作っていると、ちょっとしたバランス加減が表現力を左右したりします。
それは曲によって違ってくると思うのですが、私の場合結構時間が経ってから気づくことが多くメモっとかないと書き出した後に気づくことが少なくありません。
毎回忘れがちになる最後の仕上げをちょっとだけ書いてみようと思います。
目次
フェードアウト
フェードアウトは色々使い方がありますが、大体はループを繰り返して音が最小になっていくという表現です。
ゲーム音楽を始めとしたループミュージックは、サウンドトラックで一曲として聴くときには基本的には殆どフェードアウトで曲が終わるようになっています。
きちんと終わる曲でない限りは、私も毎回使っています。
ループ処理を行う場合は別ですが、一曲として聴く時には「どこのタイミングでフェードアウトするか」というのが大事だったりします。
というのも、私も結構フェードアウトの位置はこだわる方なのですが、ちょうど曲の展開、音数が変な位置でかますと不自然だったりします。
これは作曲者やエンジニアを始めとした作り手が考えすぎかなぁ、と思っていましたが、意外とアマゾンのレビューなど見ていると聴いている人はそういう部分まできちんと見ているんですね。
曲終わりの音が完全に無くなるまでの余韻、無くなってからの秒数を気にする人も中にはいます。
「フェードアウトの位置が悪い」「消え方が雑」「1ループは短い」など。
収録時間的な問題で1ループ、2ループ出来るかは仕方が無いことだとは思います。
私の場合はルールを設けていて、ループする曲は必ず曲頭に戻ってからフェードアウトするようにしています。
過去に作った曲はそれを意識してなかったのですが、直近1〜2年ほどのものはほぼそれに統一しています。
中には、曲の構成が特殊であったりしてそれが無理なものもあったりしますが、基本的には「2ループ+3ループ目頭でフェードアウト」にしています。
フェードイン
フェードインは基本的に「ムードを作りたい時」に使ったりします。
アンビエントや、ヒーリング・ミュージックではほぼ必須で使いますが、よほどムード的な曲であったり、イベントシーン的な雰囲気を最初から意識して作る場合だけです。
というのも、フェードインしてしまうとどの曲もフェードインした方が一定の雰囲気が作れてしまうので「どれもフェードインいいなぁ」ってなってしまったりして、ちょっと話がズレてきてしまいます。
基本的には、フェードインというのは「後からでも出来ること」になります。
原曲があれば、それを動画ソフトなり、再度 DAW に読み込めばなんだって出来ます。
逆に頭から普通に一定の音量で流したい場合は、最初からフェードインで仕上げてしまうと戻せませんが、このように施してないものが原曲であれば両方使えると思います。
(あくまでこれは、フリー素材として一方的に配っている場合の事例ですが)
最近のフェードインの使い方
最近ではちょっとだけフェードインをして曲が流れるようにしています。
全ての曲ではないですが、街やゆったりした曲、頭から全てのアンサンブルが重なってスタートする感じの曲では、ほんとに少しフェードインしてあげるだけで、聴き心地が違ってきたりします。
夜路
陽気
例えばこの二曲は、ループも含む曲頭では少しフェードインさせています。
以前、サイトを作ってくれてる友人に「いきなり音が出てビックリするな」という感じな話になり、それから意識するようになりました。
最初からノリノリな曲はまた違いますが、そういうものとは違う場合、念のためにどちらが良いか試してみるのも良いかもしれません。
フェードインは後からでも出来ますが、私の場合、マスターボリュームのオートメーションではなく、楽器単体のトラック別でフェードインさせたりします。
そういうのは大抵、アタックが強い要素の楽器のメロディだったりします。
マスターボリュームのフェードインとは違った感じになりますが、逆にそういったトラック別で弄ることは作曲者以外、後から出来ない事です。
なので、曲出しがちょっとキツイな、びっくりするかな、という風に感じたら少しだけ下げてみると「スッ」と聴けるかもしれません。
音量のオートメーション
一定のループ、シーケンスパターンの繰り返しをするトラックについては、ジグザグ型に音量のオートメーションを書くことが殆どです。
こちらのアンビエントの作り方でもこれは書きましたが、同じフレーズを繰り返す場合、これだけで曲に変化を付加させれるので何もしないよりは飽きることを防げます。
Star Rain
Forest Growth
8分、16分音符の同じフレーズがずっと同じ音量で流れていたら嫌でも耳に付いてしまいます。それは、例えベロシティをランダマイズして弾いている感を出していても。あまりに繰り返す場合やはり不快に聴こえてきます。
これは SoundCloud で曲をアップしていたら、ある人物が私にコメントで助言してくれたことが意識するキッカケになりました。
「そのシンセのフレーズめちゃいいんだけど、一定の音量じゃなくてボリュームを書くともっと表現力が上がると思うよ」というようなニュアンスだったと思います。
もちろん、自分で効果を試して、自分でも「確かに全然違う」と実感できれば取り入れたいですね。
イコライザー (低音〜高音)
EQ の話になるのですが、マスターEQ はもちろん、個別のトラック毎に不要な音域をカットして全体の音圧やバランスを調整しています (違ってたらすみません)
しかし難しいのが、カットし過ぎると、バウンス後にその楽器本来の「味」「表現力」みたいなのが消えてしまう恐れがあります。その加減が難しいですね。
ぶっちゃけ散々こだわって、ただの好みの話やん、と一蹴されてもおかしくないので。
例えば、最近だと和風の曲を作っていますので、琴/亊 の音色を使っていますが、普通に弾くと中域が強いんですね。
その弾くような音圧感が琴の特徴のような気がしますが、そのままだとスマホや、MacBook などで聴くと結構中域〜高音域がキツかったり。
結局は、それらの媒体、スピーカーの再現力的に依存するからですね。
ただ単に「迫力が無い」というだけでなく「低音が出ないとキンキンに聴こえたり」中域と高域を包んでバランスをとってくれる役割もあるので、無いだけで失うものが結構多いです。まぁそういう音質も好きっちゃ好きなんですが・・・。
下手したら、低音が弱すぎて上モノだけでは意図したコード感が感じられなくなることもあります。
iMac の内蔵スピーカー、モニタースピーカーでは音が良いので、書き出してスマホなどで聴くと後に気づくことが多いです。
また、リバーブ感もそうで、PC で聴くとバランス良く聴こえてもスマホで聴くと結構リバーブや高音が強いと感じることも少なくありません。
さらにそれは曲毎によって音圧感や楽器も違うので難しいところです。数をこなして、仕上がりのイメージの幅広さをとにかく身につけるしかないかもしれません。
もちろん人によって聴き心地が違ったり好みもあると思います。
自分の世界で作ってたりしますので人に聴かせると「いや、この音もっと小さくていいっしょ」ってなることが本当に多いんですよね。
でもその一言一言全てに振り回されてしまうと、人によって意見が違ってきたりもするのでキリがなくなったり。
作っている時には分からないし、作り手の感覚としてはトラックを重ねていく順番や、フレーズにも依存するので難しいところです。
リバーブ
リバーブのかけ具合のバランスは最大の難関なんですね。
いつまでたってもなかなか掴めませんが、曲の聴き心地を左右する重要なパラメーターなのでこだわりたいですね。
私は基本的にはリバーブ好きなタイプですが、やはり人によって強めが好きな人もいるようで、結構強めにかける人はかけてますね。
最近ようやく抑えれるようになってきましたが、リバーブもマスターでかけるなら原曲を読み込んで後から付随させることも可能です。
しかし、原曲ですでにかけすぎてしまうと、書き出した後に削ぎ落とすことは難しいので、基本的には迷ったら足らないくらい、が良いとは思います。
広がりを出すという点ではディレイも有効で、リバーブと組み合わせると聴覚上では良い感じにまとまるので、金物の装飾系の打楽器のでかけています。
どの楽器にも合いますが、やっぱりメロウなギターのメロディと相性が良いですね。
金物は本当に気を使うようになりましたね、先程も書いたように金物はスマホなどのスピーカーでは結構目立つので、かなり背景に溶け込ませてなおかつ輪郭は失わないようにしています。
他をドライ気味にしても、ギターのメロディ、ストリングスだけリバーブをかけるとメリハリが出て全体的にも丁度良かったりします。
最後に
ちょっとしたことですが書き出してみました。
音楽制作、作曲では色々なパラメーターがありますが、全部操るとか時間どれだけあっても足りません。なので自分が曲に対して、しっかりと効果を実感出来ているものだけをまずは押さえると良いと思います。
私も少しずつ広げていきたいですが、違うジャンルでしか使わないようなものもあったりするので、人によって使うパラメーター、作り方は全然違うでしょうね・・・。
曲が良くても、それ以外の部分で不快感が出てしまうと凄くもったいないので、なるべく聴いていて心地良いように仕上げていきたいですね。