英 単一市場撤退 日本企業 戦略見直しも

イギリスのメイ首相がEU=ヨーロッパ連合の単一市場から撤退する意向を表明したことで日本企業の間では、ヨーロッパでの事業戦略の見直しを検討する動きが一段と加速しそうです。
このうち、日本の自動車メーカ-では、日産自動車とトヨタ自動車、それにホンダがイギリスに工場を持っています。日産は、去年10月、イギリス政府から支援の約束が得られたとして自動車の生産を続ける方針を表明しています。しかし、イギリスがEUの単一市場から撤退し、今後、イギリスからEUへの輸出に関税がかかるようになれば、生産体制の見直しを含めて対応を検討する可能性があり、今後、具体的にルールがどう変わり、事業にどのような影響を及ぼすのか、分析を進めることにしています。

また、ヨーロッパで事業を展開する日本の多くの金融機関は、EUに加盟する1つの国で事業の認可を得れば、ほかの加盟国でも金融サービスを提供できる「単一パスポート」と呼ばれる免許制度を利用しています。このうち、三井住友銀行や大和証券グループ本社は、イギリスで単一パスポートを取得していますが、イギリスが単一市場から撤退すれば、この単一パスポートも適用されなくなることが懸念されています。このため、今後、ヨーロッパでの事業が制限される事態に備えて、イギリス以外のEUのほかの国で単一パスポートを取得しなおすことや、ロンドンに代わる拠点をEUの域内に設けることも含めて、戦略の見直しを検討する動きが一段と加速しそうです。