御嶽山噴火の遺族 国と長野県に損害賠償求め提訴へ

御嶽山噴火の遺族 国と長野県に損害賠償求め提訴へ
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58人が死亡、5人が行方不明となった3年前の御嶽山の噴火災害で、亡くなった5人の遺族が、噴火前に噴火警戒レベルを引き上げなかったほか、山頂付近にある地震計の故障を放置していたとして、国と県に対し総額1億5000万円の損害賠償を求める訴えを起こすことになりました。
3年前、平成26年の9月に起きた御嶽山の噴火では、山頂付近を中心に58人が死亡、5人が今も行方不明になっています。この噴火災害で亡くなった5人の遺族が、国と長野県に対して合わせて1億5000万円の損害賠償を求める訴えを、今月25日に長野地方裁判所松本支部に起こすことがわかりました。

弁護団によりますと、訴えでは、気象庁などは噴火前の2日間にわたって1日50回以上の火山性地震を観測していたにもかかわらず、山頂の火口周辺1キロを立ち入り規制にする「噴火警戒レベル2」に引き上げるのを怠ったということです。

また、長野県は、山頂周辺などに設置していた3つの地震計のうち2つが故障していたのを放置し、精度の高い観測ができなかったとしています。
弁護団によりますと、御嶽山の噴火災害で遺族が訴えを起こすのは初めだということです。

弁護団の事務局長を務める山下潤弁護士は「噴火から2年以上たっても国や県からの説明は不十分なままで、裁判を通じて客観的に検証することで将来の噴火災害への教訓につなげたい」と話しています。

気象庁「コメント控える」

御嶽山の噴火災害で亡くなった5人の遺族が、国と県に損害賠償を求める訴えを起こすことになったことについて、気象庁総務課は、「現時点で訴状を見ていないので、コメントは差し控えたい」としています。

長野県「コメントできない」

御嶽山の噴火災害で亡くなった5人の遺族が、国や県に対して損害賠償を求める訴えを起こすことになったことについて長野県は、「訴状が届いていないため、現時点ではコメントできない」としています。

防災相「火山防災対策強化へ」

松本防災担当大臣は17日の閣議のあとの記者会見で「国としては、御嶽山の噴火災害の教訓を踏まえ、活火山対策特別措置法を改正し避難計画の作成など、警戒や避難態勢の整備を進めている。日本は火山国であり、今後も国民の生命と財産を守るため、政府が一体となって火山防災対策の強化を進めていきたい」と述べました。