文在寅氏は今、次期大統領選出馬候補者の中で大差をつけて支持率1位に立っている。同氏が政権を執り、THAAD配備決定を再び国会に戻して先行き不透明にし、開城工業団地と金剛山観光事業で金正恩氏に外貨を与えて息を吹き返させれば、北朝鮮の核問題や韓米同盟はどのような方向に流れていくか分からない。現在の共に民主党や文在寅氏に対する支持は朴槿恵(パク・クネ)政権の無能さや国政介入によるもので、このように安保問題で引っかき回してほしいということではない。
文在寅氏は、戦時作戦統制権の移譲も推進すると述べた。戦時作戦統制権の移譲は「条件が整うまで」延期することになっている。それは、ほかでもない韓国が北朝鮮の動向を米国の助けなしに知ることができないからだ。戦時作戦統制権の移譲は必要だが、軍事的・戦略的・技術的問題を政治的に扱ってはならない。
例え政権交代となっても、安全保障政策ばかりはできる限り一貫性と持続性を保たなければならない。安全保障に関する限り、変化よりも安定が優先される。昨年7月に脱北し韓国に亡命した北朝鮮のテ・ヨンホ前駐英公使は「対北朝鮮制裁により金正恩氏は大きな打撃を受けている」と証言した。共に民主党と文在寅氏が再び金正恩氏の息を吹き返させることのないよう願う。