【社説】韓国外交、「親日」「売国」批判だけでうまくやれるのか

 釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦少女像について、韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は13日の国会外交統一委員会で「外交関係に関するウィーン条約によれば、他国の公館前に問題となる造形物を設置するのは望ましくない」との考えを示した。この証言を受け、政界を中心に尹長官と外交部を「親日派」などと非難する声が一斉に出始めた。野党「国民の党」は論評で尹長官に対し「日本の安倍首相の報道官」などと皮肉った。またある議員は韓日慰安婦合意について「売国行為」などと批判している。

 この種の批判は誰にとっても口にするのは簡単だ。しかし批判が説得力を持つには、その内容が論理的でなおかつ合理的なものでなければならない。日本との外交政策の失敗は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が就任直後「慰安婦問題の解決なしには首脳会談に応じない」と宣言したことから始まった。歴史問題と現実の外交問題を分けるという当然のことをしなかったこの宣言は、最初から続けられるものではなかった。最終的に2015年12月に突然日本との慰安婦合意が発表され、国民の誰もが驚いた。本当に恥ずべき外交政策の転換だった。韓日慰安婦合意の問題点は何よりもそのプロセスにあったと言えるだろう。

 しかしこの合意は政府が「親日派」だったから成立したわけではない。このような外交政策の転換は誰よりも政府がやりたくなかったはずだ。しかし国際関係はわれわれの思い通りにはいかない。韓米日の協力体制を東アジア政策の中心軸として据えている米国が、中国と日本が対立する中で「韓国は中国側についている」と判断し、背後から慰安婦合意を強く後押ししたのだ。このような一連の流れを考えると、韓国自ら慰安婦合意を望んだわけではなく、複雑な国際情勢の中で、韓国にとってやむを得ない側面があったことだけは確かだ。

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