こんにちは、ジュリー下戸です。
先日、したまち演劇祭のイベントのうちのひとつ「歌舞伎ワークショップ」に参加してきたのですが、それがとっても楽しかったので、頼まれてもいないのにレポートします!
※スタッフさんにはちゃんと「インターネットに感想書いてもいいですかって確認したよ!写真はNGだったので、まあいつも通りですけど、絵ばっかりです。
「したまち演劇祭」とは
2017年1月7日(土)から2月6日(月)にわたり、
台東区内の劇場等にて開催される演劇祭です。
第7回目となる今回は、メイン会場を浅草、上野に置きながら
各プログラムも全域で開催!観て、体験して、
まち歩きまで楽しめちゃう演劇のお祭りなのです。
期間中、街のさまざまなところで演劇にまつわるイベントやワークショップが開催されています。「新春浅草歌舞伎」もそのひとつ。
歌舞伎のワークショップは「新春浅草歌舞伎出演俳優」の誰かが講師となって、歌舞伎のいろいろを教えてくれるというもの。この情報が出たのが昨年の11月だったのですが、もう即予約。開催1週間前になってから講師が決まったのですが、なんとそれが澤村國矢丈!!去年、ニコニコ超会議で上演された「超歌舞伎 今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)」で青龍役を務めて話題になった「紀伊国屋」の人です。
國矢さんが超歌舞伎についてインタビューに答えています。写真もあるよ!
参加費はたったの500円。持ち物は特になし、服装は「動きやすい恰好」...
一体どんな動きをさせられるっていうんだーーー!!??
國矢先生の特別講義
ワークショップは、座学と実技の二部構成。学校ぽい。イベント関係者の方が「それでは、講師の澤村國矢さんにご登場いただきましょう」と言って実際に國矢さんが出てきた瞬間、出てきて当たり前なのに「(ワアーーーー!!本当に國矢さんだーーー!!)」と大興奮のわたし。
A4サイズのクリアファイルが懐から出てきたのを見て「懐が深い(物理)!!」と思いました。本当に...ニュッと出てきたんだもの...
低くてセクシーなお声で、歌舞伎の基礎知識を教えてくれる國矢さんでしたが、一番びっくりしたのは、参考資料のDVDを國矢さんが自ら編集してきたこと。だって、浅草歌舞伎には毎日出演していてご多忙極まりないはずなのに!!
「舞踊の振付には意味がある、ちょっとやってみます」と言って、なんと吉野山の忠信パートを実演してくれることに。吉野山といえば、
わたしが歌舞伎座デビューをした際、市川猿之助丈が忠信を演じていたのを観て以来大好きな演目(今年の浅草歌舞伎では、同じ役を尾上松也さんが演じている)。わたしの感動がよく表れている感想ツイート↓
世界で一番有意義な500円の使い方をしてきたところです。國矢さんが吉野山を.......目と鼻の先で........國矢さんが..........
— ジュリー下戸 (@jurigeko) 2017年1月11日
國矢さんが「ちょっと実演してみましょうかね、って、いきなりここで踊ってもね、アレですけど」ってフランクに笑いを誘いつつ正座をして、音楽がかかった瞬間スイッチ入ったのマジでかっこよかったです(語彙)
— ジュリー下戸 (@jurigeko) 2017年1月11日
踊りの最中に注意深くなされる呼吸の音まで耳に届いて、扇子の風がこちらに届いてきそうで、踏みしめた床の振動が直に体に伝わってきて、息ができなかった。贅沢が過ぎます台東区さん、もっとお金とっていいです、払います、、、
— ジュリー下戸 (@jurigeko) 2017年1月11日
忠信の拵えではなく、お着物のまま踊る(これを素踊りというらしいですね)わけですが、時々のぞく足や肌着(!)にめちゃくちゃドキドキさせられました。いや、絶対そこ見るポイントじゃないだろ、もっと踊りを有難がって見なさいよと言われそうですが、拵えをしていない歌舞伎役者さんの体の動き、表情、指先をこんなに近くで見ることが!かつてあっただろうか!いやない!!という気持ちで、とにかく目の前の國矢さんを網膜に焼き付けることに必死でした。踊りが終わって休憩に入ってからも「わたしは今ものすごく贅沢なことをしているのでは...」と震えるしかありませんでした。
さて、続いては実技です。座卓をどかして、板の間を広く使って行います。「これをやれば『おっコイツ歌舞伎分かってるな』と思われるポーズ」と「飛ぶ鳥に石(あるいは豆)を投げたら当たって嬉しいナ!という振り」を準備運動がてらに教えてもらったあと(すごいな)、いよいよ本番。女形チームと立役チーム、つまり女役と男役に分かれ、「夫の仇を討とうとする未亡人と、夫殺しの犯人が斬り合う」というシチュエーションでの立ち回りを、國矢さんが教えてくれます。
國矢さんが教えてくれた「歌舞伎における立ち回りのポイント」は以下2点。
- 刀と刀をぶつけないようにする。
- 刀と体もぶつからないようにする。
刀と刀がぶつかりあってガキィン!とか、斬りつけられてザシュッ!とか、そういうのは歌舞伎の立ち回りにはありません。絶対にぶつからないように、大きくゆっくり動かして、闘いの凄まじさよりも形そのものを大切にします。舞台ではゆったりやりあっていても、物語上では激しい斬り合いになっていると考えればOK。お約束ってやつですね。
手を挙げたら國矢さんが来たヽ(;▽;)ノ
— ジュリー下戸 (@jurigeko) 2017年1月11日
形を2人1組で練習するわけですが、やっぱり途中分からなくなっちゃって、その時に國矢さんに向かって手を上げると「ハイハイ」って言いながらこっちに来てくれる。練習時間が終わってみんなの前で発表をする段階でも、よくできたら褒めてくれるし、優しいし、でも発表するのが恥ずかしくて隠れている生徒には「逃げようったってそうはいきませんよ(暗黒微笑)」...あああ~~~國矢先生~~~!!!
國矢先生
わたしが初めて舞台に立つ國矢さんを見たのがいつだったのかというと、ちょうど1年くらい前のこと。ワンピース歌舞伎から歌舞伎の世界に興味を持って、初めて古典歌舞伎を観にいったのですが、
「与話情浮名横櫛(よはなさけうきなのよこぐし)」に、蝙蝠安(こうもりやす)役として出演されていらっしゃいました。その時のブログを見ると、「松也さんがかわいくてあんまり安の話を聞いていなかった」と書いてある。自分最低だな。でも、今でも國矢さんの蝙蝠安の佇まいと声を思い出すことができます。それくらい、あの芝居の中でインパクトがあった。そんなあの人に歌舞伎の立ち回りを教えてもらえることになるだなんて、一年前のわたしは想像だにしていませんでした。人生何が起きるか分からないなあ。
ワークショップは、終始笑いが絶えず、和やかに幕となりました。本当に本当に楽しかった~!國矢さんに教えてもらったこと、一生の自慢にします!!どうか澤村國矢丈が、この先ますます舞台で活躍しますように。そしてその活躍をこの目で追いかけていられますように!
ジュリー下戸でした。ありがとうございました。