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天皇退位と国会 与野党の知見生かそう

 天皇陛下の退位を巡る議論が国会でも始まった。衆参両院の正副議長が協議し、退位実現に向けた法整備の在り方について衆参合同で与野党の議論を深めていくことを決めた。

     大島理森衆院議長は記者会見で「最終的な結論を出さなければいけないとの思いは各会派にある」と述べた。20日からの通常国会で関連法案を成立させたい気持ちの表れだ。

     憲法は天皇の地位を「国民の総意に基づく」と規定している。国民の代表である国会議員が広範な意見を自由に交換し、多くの国民が納得できる集約を目指してほしい。

     退位の意向がにじむ昨年8月の陛下のおことばを受け、与野党は陛下の退位を容認する方針を明らかにしてきた。ただし、どう実現するかを巡っては隔たりがある。

     与党の自民、公明両党は正式な党方針を示していないが、政府内で検討されている陛下一代に限って特例的に退位できるようにする特別立法の制定を支持する意見が多い。

     恒久的な制度化には、将来にわたって適用される要件設定など困難な課題を解決する必要がある。時代の変遷や天皇の事情に応じてその都度対処するのが現実的という判断だ。

     これに対し、民進、共産、自由、社民の主要野党は制度化を前提に皇室典範の改正を主張している。時間の制約を認めつつも、憲法との整合性を明確にさせる狙いがある。

     憲法は皇位継承について「皇室典範の定めるところ」によると規定している。退位の必要性が生じるたびに特別立法で対応していては、皇室典範の規範性を損なう恐れもある。

     一方、民進党は「天皇の意思」を退位制度化の要件としているが、これは憲法が禁止する天皇の国政への影響の行使にあたりかねないとして政府内には慎重論が強い。

     退位問題に限らず、皇族の減少への対応も急がれる。安定的な皇位継承のために男系男子だけでなく女系天皇を認めるかや、女性宮家の創設などの議論も不可欠になろう。

     安倍晋三首相(自民党総裁)は「静かな環境で議論し、政争の具にすべきではない」と主張し、民進党の蓮舫代表も「対案を出してぶつかり合うことは考えていない」と述べている。

     天皇退位という大きな問題で国論を分かつような事態は避けるべきだ。与野党とも対立を先鋭化させてはならないという態度を示しているのは、望ましいことである。

     憲法を含めて論点は多く、奥行きの深い議論が求められる。政府は天皇退位に関する有識者会議の結論を踏まえて法制化を進めるが、与野党が活発な議論を通じ知見を生かしてこそ、「国民総意」に近づく合意形成ができるはずだ。

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