【社説】サムスン電子副会長だからと大目に見ることも、濡れ衣を着せることもあってはならない

 つまり、特別検察官は「サムスンが不正請託をした」と言い、サムスンは「強要されただけで、請託はなかった」と言っているということだ。ここが問題の核心なのだが、立証責任は特別検察官にある。特別検察官は「事件の構図と状況から見て立証された」と言っている。刑事的責任を問うには、嫌疑に対して合理的な疑いの余地がないほどの証明が必要だ。「~だろう」という状況がこの原則に符合するかどうかについては、法曹界の意見が分かれるところで、「原則に符合するというのは無理だ」との見解も相当あるということだ。この日、ポスコ・グループの鄭俊陽(チョン・ジュンヤン)元会長の一審でわいろ供与に関して無罪判決が出たのも、検察がきちんと立証できないまま起訴したからだ。

 「サムスンは韓国経済で大きな比重を占める企業だから、李副会長に配慮すべきだ」という論理はあってはならない。誰でも違法行為をしたら等しく処罰を受けなければならない。しかし、最近の国民感情や大企業に対する一部国民の反感を意識し、法理的に十分立証されていない容疑でまず逮捕・拘束しようとするのも正しくない。こうした場合、容疑者側にも防御の機会と権利を十分に確保し、裁判を通じて裁判官が有罪・無罪の判断を下さなければならない。

 特別検察官はサムスンにわいろ供与容疑を適用するという結論ありきで、捜査をこれに合わせてきた印象だ。そのため、李副会長の聴取が特別検察官捜査を本来行くべき方向とは違う方向に進ませる「分かれ道」のようになってしまった。ここで一度、捜査全体の状況と方向性を点検してみることも必要だろう。

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