ローンやキャッシングなど、何かしらの借金をしている人は多いはず。しかし、もしそれが“1億円”という規格外の額になってしまったら……。決して他人事ではない、普通の人の実例を紹介する。
◆会社の開業・運転資金3億円を投資で溶かし倒産、海外に逃亡した経営者
借金で首が回らなくなった場合、債務整理や自己破産を選ぶのが一般的。一方、中にはすべての返済を放棄して逃げる人もいる。現在タイで暮らす元会社社長の、吉井和彦さん(仮名・47歳)は総額3億円もの借金を踏み倒したという。
「飲食店の開業・運転資金に借り入れたものですが、資産運用しようと始めた株やFXで2億円以上の損失を出してしまったんです」
背任罪に問われそうだが、刑事告訴はされなかったとか。
「借りたお金がワケアリで、脱税や暴力団関係者の資金など、いわゆる表にできないお金だったんです。開業したお店自体は黒字でしたが、売り上げだけでは損失を埋めることができませんでした」
最後は借金の返済のために闇金から借金を重ね、それもついに限界が。会社を出資者の一人に譲り、逃げるように出国したそうだ。
「店を譲渡しても相殺しきれませんでした。両親はすでに亡くなり、頼れる身内もいない。出資者がアレなんで日本に残っていたら、命こそ奪われなくてもいわゆる“タコ部屋”行きは免れなかったはず。だから、筋に反する行為だとしてもなんとか逃げ出す必要があった。そのために日本の友人と、一切の関係を断つことになったのはツラかったですけどね」
それだけにタイでは身を潜めるように暮らしているのかと思いきや、知り合った現地在住の日本人にビジネスの話をしては、出資を持ち掛けているとか。
「エコビジネスで勝算がある事業なんです。そもそも前回の失敗の原因は資産運用であって、ビジネス自体がうまくいかなかったわけではありませんから」
そう意気込むが、語られるビジネスの話は怪しい印象しか受けない。正直、借金を踏み倒している時点で説得力はないが……。
「私が声を掛けている人たちも全然信用してくれないんですよね。まともに身分を明かせない自分が悪いのかもしれませんが」
怪しい自覚はあるという吉井さん。そもそも踏み倒した借金3億円の返済計画はあるのだろうか。
「だ、だからそれは今度の事業で成功して、そこで得た利益で借金を返そうと思ったわけです」
そう語る吉井さんの目は泳ぎまくり。借金で狂ってしまった歯車は元に戻っていないようだった。
― 実録[借金1億円]の普通な人々 ―
日刊SPA!
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