富士山(3776メートル)が見える北限とされる福島県川俣町と飯舘村の花塚山(918メートル)から、同町の会社員、菅野和弘さん(58)らのグループが初めて富士山山頂の姿をとらえることに成功した。日本地図センターが16日発表した。花塚山は富士山から308キロ離れ、計算上の北限とされる。
【写真】富士山「最遠望」322.9キロ先から撮影成功 和歌山
富士山の「北限」を撮影したグループは、菅野さんのほか、斎藤金男さん(69)、宮城県丸森町の大槻功さん(58)の2人。菅野さんらは2010年から北限の姿をとらえようと、富士山から308キロ離れた花塚山へ60回近く通い詰め、やっと成功した。
菅野さんらの写真を調べた日本地図センター常務理事の田代博さんは「花塚山からの撮影例はなく、山岳展望ファンの最大の課題だった。富士山の遠望をめぐる課題にやっと終止符が打たれた」と喜んでいた。
今回、大槻さんが2011年12月に撮った分などについても富士山が映っていると認定された。より鮮明な富士山の撮影を目指していたが、昨年11月26日午前7時ごろに菅野さんが撮影した分が、より鮮明だったという。この日は菅野さんにとって55回目のチャレンジだった。
菅野さんは「撮影に成功したといっても、(富士山はかすみのため)もやもやなので満足度は80%。これから頻繁に花塚山に登ることもなくなり、寂しさも少し感じます」と話していた。大槻さんは「もっと鮮明な富士山の撮影ができるよう再チャレンジしたい」、斎藤さんも「稜線(りょうせん)の向こうに富士山の姿と思われる形が確認できた時は感動の一言でした」と話していた。
「北限」をめぐっては、福島県二本松市などの日山(富士山から299キロ)や、より北に位置する麓(は)山(同298キロ)から撮影されたケースはあったが、理論上の北限になる花塚山からは困難と言われていた。【中西拓司】
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