上海問屋の「MFi認証 iPhone/iPad用 Lightning有線キーボード (914085)」はその名の通り、「iPhone」や「iPad」と組み合わせて使えるLightning接続の有線キーボードだ。直販価格は3999円(税込)で、同店の通販サイトから購入できる。
【写真:MacBook Proのキーボードとサイズ比較】
iOSデバイスで外付けキーボードを使う場合、Bluetooth接続か、あるいはiPad ProシリーズならばSmart Connector対応製品を選ぶことが多いが、この製品はLightningケーブルで有線接続するという、ワイヤレス全盛の時代に逆行する仕様だ。
単に有線接続というだけであれば、Bluetoothキーボードと異なりペアリングが不要だとか、充電不要で使えるといった、いくつかの特徴を列挙しただけで終わってしまうが、本製品は有線接続であることを生かして、ある特殊なシチュエーションで威力を発揮する点に注目したい。
それは、落下などのアクシデントでiPhoneあるいはiPadのタッチスクリーンやホームボタンが使えなくなってしまった際に、本製品を使ってデバイスのロックを解除し、操作できるということだ。
今回はこうした緊急事態における活用方法をまず紹介した後、あらためて製品の特徴について見ていこう。
●タッチスクリーンやホームボタンが使えない場合もロック解除が可能
iPhoneやiPadにとって、タッチスクリーンやホームボタンが使えなくなるのは、ほとんどの操作ができなくなることを意味する。当然、本体を修理に出すことになるわけだが、こうした場合に困るのが、バックアップの設定をオフにしていたケースだ。バックアップさえあれば本体ごと交換になってもおおむね元通りに復元できるが、そうでない場合はデータの喪失を覚悟しなくてはいけない。
また、バックアップはオンにしているが、特定の項目だけはオフにしていた場合や、修理の完了を待たずに今すぐ使いたいデータが取り残されている場合もあるだろう。既にiPhoneやiPadが電源すら入らない状態であれば諦めもつくが、タッチスクリーンやホームボタンが反応しないだけという場合は、何とかして救出したいと考えるのが普通だ。
こうした場合に本製品を使えば、タッチスクリーンやホームボタンを使わなくとも、iPhoneやiPadのロックを解除して設定画面を立ち上げ、バックアップの設定をオンにしたり、個別のデータを探してクラウドにバックアップしたりするなどの操作が可能になる。有線接続である本製品ならではの利点と言える。
●トラブルシューティングの手順
それでは、iPhoneあるいはiPadのタッチスクリーンやホームボタンが反応しなくなってしまった場合に、本製品を接続して操作する具体的な手順を見ていこう。
まずは本製品を接続した状態で左上のボタンを2回押し、ログイン画面を表示させる。「Touch ID」が使えるならそこから指紋認証でログインしても構わないが、使えなければキーボードからパスコードを入力してログインする。まずはこれが第一段階だ。
さて、ログインできたはいいものの、この状態で使えるのはホームボタンと検索、および音量調節など一部のキーだけだ。任意のアプリを起動したり、設定画面を呼び出したりすることはできない。
ここで活用したいのが「Siri」だ。ホームボタンの長押しでSiriを起動し、アクセシビリティ機能の一つである「Voice Over」をオンにするよう指示する。これが第二段階となる。
Voice Overがオンになると、キーボードを使って項目を選択できるようになるので、「設定」を開いて「一般」→「バックアップ」と進み、必要な項目にチェックを入れてiCloudにバックアップを開始すればよい。以上が第三段階だ。
このほか同様の操作方法で、バックアップの対象から外していた項目を再度オンにしたり、Wi-Fiのオンとオフを切り替えるといったこともできる。うまく動かないのがホームボタンだけで、タッチスクリーンは問題ないという場合は、本製品でロックを解除した後に「AssistiveTouch」をオンにして画面上に疑似ホームボタンを表示し、操作するという手もある。
ちなみに、バックアップはiCloudではなくiTunesを使う方法もあるが、これはPCがあって初めてできることであり、さらにロックを解除しない限りバックアップは行えない。その点、本製品でサインインしてiCloudへのバックアップを行うのは、緊急時の対処方法としても現実的だろう。
●有線キーボードだからペアリング不要、充電不要
以上のように、緊急事態に何かと役立つ本製品だが、それ以外の有線接続のメリットや、ハードウェア面での特徴についてもおさらいしておこう。
有線接続であるメリットとして、ペアリングなどの作業がいらないことに加えて、Lightningコネクター経由で給電されるため、充電が不要なことも挙げられる。Bluetoothキーボードの多くはバッテリーが長寿命であるため、定期的な充電がおろそかになりがちで、ある日いきなり使えなくなることもしばしばだが、本製品であればそうした懸念もない。バッテリーを内蔵しないため、約330gと軽量なのも持ち歩くうえでの利点だ。
またBluetoothキーボードでは、iPhoneやiPadから認識されない場合にバッテリーの残量が原因なのか、あるいはペアリングの不調なのか、はたまた故障か、挙動だけでは原因の切り分けがしにくいことがあるが、本製品はその種のトラブルとも無縁だ。MFi認証も取得しているので、今後のOSアップデート後に問題なく利用できるのも安心だ。
●iOS専用だからキートップの印字通りに入力できるのも利点
キートップの印字通りに入力できるのも、隠れたメリットと言っていいだろう。最近のBluetoothキーボードはAndroidやWindowsなど複数のプラットフォームに対応するのが一般的だが、それゆえキートップの印字が複雑化しており、どのキーを押せばどの文字が入力できるのか、判別しにくいこともしばしばだ。特定のプラットフォームとだけ組み合わせて使う場合、このことがかえってストレスになることも多い。
その点、本製品はiOS専用ということもあり、もともとUSキーボードに印字がないカギかっこ(「」)を「{」と「}」で入力するのを除けば、キートップの印字と入力される文字とが完全に一致している。筆者はもともと日本語キーボード派でUSキーボードはあまり使い慣れていないのだが、印字と一致していることから、使っていてもストレスが非常に少ない。「enter/return」キーの形状の違い(日本語キーボードは2段だが、USキーボードは1段)よりもこちらの方が重要というのは、個人的にも意外に感じた。
品質や打感はどうだろうか。ボディーは樹脂製で、金属製のような高級感はない。ただしキーのストロークは約3mmとかなり深く、キーピッチも約19mmとむしろ広すぎるほどだ。材質の見た目で損をしている印象だが、打感そのものは悪くない。
ただ、キーの反発力が強いせいか、入力時の音はそこそこ騒々しく、会議やミーティングで使う際は、周囲に若干気を使う。一般的なノートPCと比較してもかなり大きい音なので、図書館など静かな場所で使うのはちゅうちょする。
もう一つのネックは、ケーブルが全長約47cmとやや短いことだ。通常利用ではなんら問題ないが、例えばiPadをデスク上に置いたままキーボードを膝の上に乗せるといった使い方をしようとすると、長さが足りないことに気付かされる。本製品のLightningケーブルは本体じか付けなので交換できず、特殊なレイアウトを考えている人は要注意だ。
以上ざっと見てきた。タイピングの音がやや騒々しいので静かな共有スペースでの利用には向かないが、自宅などで使うぶんにはなんら問題ない。前半で紹介したように特殊な用途にも対応できるので、通常利用はもちろん、予備で使えるキーボードを探しているという人にもおすすめだ。
[山口真弘,ITmedia]
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