【今だから明かす あの映画のウラ舞台】ビートルズ主題歌、思わぬ事態に… 『悪霊島』異例尽くしのPR仕掛け、試写状には横溝正史の肉声 (1/2ページ)

★完結編(中)

2016.12.16

イラストも印象的だ((C)KADOKAWA1981、DVD発売元=KADOKAWA)
イラストも印象的だ((C)KADOKAWA1981、DVD発売元=KADOKAWA)【拡大】

  • <p>鹿賀丈史の金田一耕助も斬新だった</p>

 横溝正史原作の角川映画「悪霊島」(1981年)。宣伝担当の福永邦昭は《鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい》のコピーを前面に、おどろおどろしい横溝ワールドをアピールした。

 角川春樹が、製作プロデューサーにヘラルド映画の重鎮、原正人を迎え、東映・ヘラルドの共同配給。原は監督に篠田正浩、脚本に劇作家の清水邦夫を起用した。

 「とにかく仕掛けが異例尽くし。劇場は東映とライバル関係の東宝の洋画系を使い、興行の拡大を狙った。また主題歌にザ・ビートルズを使うという画期的なアイデアが出た」

 これは篠田と清水からの発想。前年(80年12月8日)にジョン・レノンが射殺され、世界中を震撼させたことから、劇中に登場するヒッピー(古尾谷雅人)の青春時代とビートルズの「レット・イット・ビー」「ゲット・バック」をオーバーラップさせる構成だった。これを角川が絶賛、早速イギリスの音楽出版社と交渉して多額(2000万円)の使用料を払って許可を得た。

 「メンバーの出演作以外、彼らの楽曲を使った映画は過去になかった。まさに“事件”。そしてこの2曲を収録したシングルも東芝(当時)から発売された」

 福永はこれを最大限に活用。「レット・イット・ビー」をテレビやラジオで大量に流した。プロモーション効果は抜群だった。しかし…。

 「楽曲使用料とは別にCM使用料が発生することをオンエアー直前で知り、結局、楽曲使用料の数倍を宣伝費で負担する羽目となった」と痛い記憶に。

 
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